2013年06月06日

芒種に想う「芸術の信条」。

ここで密度の濃い自給的な暮らしをするようになって、実はあまり絵を描かなくなりました。
造形も、あまりしません。
描くこと、つくること自体は好きだから、もちろん時々はやるのだけれど、本当に「時々」です。

本当は、時間の半分、いやせめて1/3くらいはゲージツに時間をとりたいなーなんて思っていたのですが。
「忙しすぎてできない…」「もっと時間に余裕が欲しい…」とも思っていたけれど、ちょっと違う気もします。

「どうしてもやらなきゃ!描かなきゃ!」という切迫感のようなものがなくなってる気がするのでした。



昨日の午前中も、びっしり畑の整地、種まき、苗の定植などしていました。
そんな作業をしながら、あらためて気づいたこと。
それは、「ああ、これは、デカい面に絵を描いてるようなものだなあ」ということです。もしくは、「2aの敷地にオブジェを造ってるようなものかもしれないなあ」

以前もこのブログに記した気がしますが、やっぱり「畑は作品」です。
少なくても、僕にとってはそう。
絵のような、造形のような、不思議な作品づくりをしている感じがします。
しかも、それは僕で決して完結せずに、時間をかけ、イキモノたちの手を借り(というか、彼らが主役。雑草たちもね)、僕の意図を常にはるかに凌駕しながら出来上がっていく作品・・・。

苗を植えるのも。
(これは北海道カボチャです)
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タネを播くのも。
(ここには八列トウモロコシと黒大豆を播きました)
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畑を起こす作業も、「キャンバスの下塗り」もしくは「オブジェの基礎づくり」みたいだし、3月から始まる苗立ても作品づくりの一過程だし、もちろん作付け計画は「作品案」そのもの。
数日に1回は土手に登って、その変化を楽しみつつ、新たな想像を膨らませます。
「あそこはこうしたらいいかなー」
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いや、それでいえば、昨秋のタネ採りから今年の作品づくりは始まっているし、雄鶏の鳴き声も、ヒヨコの踊るように駆ける姿も、干してある30個ほどのヒョウタンが風で「ボーウボーウ」「ガランガラン」と鳴るのも、全部作品のような気がします。
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ハウスに植えたヒョウタン。伸びていく蔓の姿はまさにゲージツ的!
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昨年のキャベツが美しい花を咲かせています。
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連綿と、「塗り直し」「再構築」を繰り返しながら続く「作品づくり」
僕にとっての自給的生活は、まさにそういうものなんですね。
「畑は作品」というより、「暮らしが作品」なのかもしれません。

だから、あえてわざわざスケッチブックやキャンバスを取り出したり、石膏を買ってきて溶いたりする気になりにくいのだなあ、と、昨日種まきしながら思ったのでした。



「芸術はそれぞれの場所、状況で、もっともたくましく、純粋、聡明に生きた、そのアカシであると私は思う。だから世界のあらゆる場所で生まれなければならない。」
「芸術のあるところ、そこが世界のセンターであり、宇宙の中心である」
「私には、生活の信条というものはない。芸術の信条があるだけだ。」


これらは、僕の敬愛する岡本太郎氏の言葉。

僕が自給的生活に向かったきっかけはどちらかというと「社会的な価値」からでした。今の社会だからこその「意味」を考えていました。
けど、今はたぶん違います(もちろん結果として僕のやることが何らかのメッセージになれば面白いとは思うけれど)。

僕はきっと、自分の「芸術の信条」によって、こんな暮らしをしています。
だから、体はこんなに疲れてても、心が満ちてるんだろうな。



ほら、ジャガイモもインゲンも芽が出てきましたよ。
日ごと、彼らとの共作。
これって、まさにモダンアート。
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posted by 野良人イトウ at 05:30| Comment(2) | 芸術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月09日

本当の「保守」。

この映画を見ながら、「自分は今や右翼的な人間なんだなあ」と感じていた。
長らく市民運動にも携わってきたし、人権・平和・環境・福祉…勤め人だった時から熱心に取り組んできたことは(認めたくないけれど)いわゆる「サヨク的」なテーマが多かったから、まさか自分がそう感じるなんて驚きだけれど、やはりそうなのだと思う。
ただ、僕がここでいう「右翼」ってのは、ネットで騒ぎ立てたり街宣車から怒鳴ったりする人たちではもちろんなく(あれは自慰目的の行為でしかないでしょ)、本来の、フランス革命時の...並びに由来するような、「保守的」な考え方。

人間性のカケラもない「革新」より、先人が積み重ねてきた伝統の価値を知る「保守」の方がずっとマシ!
最近特に、そう思う。

この映画は、本当に地味な映画だ。
淡々と、在来作物を守る人たちを追う。
扇動的、刺激的なシーンを盛り込んだりもしない。
数年間山形で暮らした経験のある身としては、「ばあちゃんの青菜漬けがイタリアンに!?」とコーフンしたりしたけど(地元じゃ本当にベタな漬物だからね)、映画自体は基本的に静かに、丁寧に、食文化を守る人たちの仕事ぶり、素の言葉によって構成される。

この映画を前にしたとき、今の政権が進めようとしていることが「空っぽな革新」に見えてくる。「右傾化」が危惧される昨今だけれど、本当は「右」なんかじゃないことがよくわかる。
彼らが「保守」しようとしてるものは何だ?大地でも、風土でも、文化でも、伝統でもない。ましてこの国で暮らす「人間」なんかじゃない。

たとえばTPPにしても、原発にしても、本来守るべきものを蹴っ飛ばして「お金」にしがみついてるだけでしょう?
本当の「右」「保守」なら、(手段としてどういう政策をとるかは別としても)「TPP?原発?そんなこの国の大地や文化を売るようなことは許さん!」というはずじゃないのかな(実際そう言ってる「本当の右翼」の人たちもいる)。

「在来作物」の話なんて、結局は「感性」の問題だと僕は思う。
善悪で振り分けることなく、正義を振りかざしたりすることなく、感性でわかりあえるひとたちとつながっていきたい。
そんなことを感じさせてくれたこの映画。
『よみがえりのレシピ』、とっても素敵な映画だった。


posted by 野良人イトウ at 07:26| Comment(0) | 芸術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月28日

つくるみに参加。

江別市の「ドラマシアターども」さんを会場に行われる『えべつ脱原発芸術祭』に出品してきました。
ちーっとも作品作りなどできていないので、以前からボチボチやっているヒョウタン加工品を取りまとめてなんとなく「作品風」にしただけなのですが。
作品名は、「ヒョウタン生活」

それでも一応、僕なりの意味(というかこじつけ?)はあります。
人類最古の栽培作物とも言われるヒョウタンは、つまり人間の「文化」の原点であるとも言うことができるわけで、一方その「人間固有の文化」によって暴走を許されてしまった欲望の行き着いた果てが原発であるならば、今一度「原始(文化以前)」でも「原子力」でもない「文化」の原点に立ち返って欲望をコントロール下に置きながら、本当の知恵を使って生きていく術を見つけ出していこうじゃないか、という思いです。

この芸術祭を企画運営してる「つくるみ委員会」の方々が、またステキな人たち。
地に足ついてる感じが好きです。
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この芸術祭は、明日(3月1日)より、3月31日まで。
タイミング合う方は是非覗いてみてください(どもさんも素敵な場所です)。
3月20日には『つくるみ劇場』ってイベントもあります。
そこで、僕もちょっと歌わせてもらうことになりました。
楽しみだなー。
posted by 野良人イトウ at 23:20| Comment(0) | 芸術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月27日

間に合いそうだ。

年賀状用の版画を彫った。
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昨年は年明けに完成して、リアル「今年もよろしくお願いします」を添えて送ったけれど、今年は既に刷りも終了。スバラシイ!
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年賀状だけに、ここに載せられないのが残念なところです。
最近は年賀状の時しかやっていないけど、やっぱり版画は楽しいなあ。

年賀状、「毎年毎年メンドクサイ」「年に1度挨拶だけのつき合いなんて・・・。親しい人には会ったときに挨拶すればいいんだし」って言う人もいますが、僕は好きです。
年に1度、作品をお届けする気分。手紙書くのもまた楽し。
裏も表もパソコン印刷のみ!ってのはツマラナイけど(それじゃあ出す方もきっとツマラナイでしょう)・・・でも、人間はつながり(別名:しがらみ)の中でしか人間たり得ないのだから、それを確認するためにもこういう機会がたまにあってもいいんじゃないかな。

さあ、あとは宛名書きだ。何とか今日明日中に発送します!



posted by 野良人イトウ at 06:39| Comment(0) | 芸術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月05日

芸術的に生きたい。

小屋(仮名・ゴン太ハウス)はまだまだ展開し続けております。

今、表はこんな感じ。屋根の上には草が結構生えていて、ハーブやイチゴが元気です(上手く越冬できるかなー)。
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中はこう。
パン焼き小屋としてすでにオーブンも稼働してます。
ホイロでは天然酵母を起こし中。
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忙しくて揺られる暇はあんまりないけど、ハンモックは最高です。
ここはもう、間違いなく居心地良い空間。
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そして先々週、背中には壁画を描きました。

表から見て「キャー素敵♡」なんて言う人が、「ゲゲッ!」と驚くような感じに。
土手を歩いてる人が、「ん?なんじゃアレ?」と近寄ってみたくなるような感じに。
原色でガシガシと描きました。
でも、テーマは「つながり」。一応、いろんな思いを込めて描きました。
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やっぱり暮らす空間は芸術的な場であって欲しい、というか・・・暮らし自体を芸術にしていきたい!・・・なんて欲望が僕にはあるのでした。
描いててとにかく楽しかったので、たぶん来年また、上から違う絵を描きます。



んで、もうすぐ来る冬に向けて、風除室をつくる予定。
小屋と同じくらいの広さの風除室にして、ストーブもトイレも設置して、作業スペースにしようと思っています。
夢は広がり続けるなあ!

明日、建築工房らくだの千葉さんトコから、材料運んできます。
11月中に何とかしないと。頑張ろ。


posted by 野良人イトウ at 20:34| Comment(0) | 芸術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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