『バガボンド』37巻。
武蔵がもう3巻以上も田んぼづくりばっかりしてるので、ついていけない読者も多いらしいけれど(そりゃそうだよな)、僕はもちろん毎回大興奮で読んでいる。
今回もすごかった。
自然に翻弄されながら水を引き、田をつくり、タネのひと粒に祈りを込め、育つ苗を慈しむ。
己がちっぽけな存在であることを識り、村人に助けられ、飢える村人を救うために頭を下げる。
自分が「生かされている」ことを体感していく武蔵・・・。
「農」が僕らに伝えてくれることを剣豪・宮本武蔵の物語で読めるとは。
まあ、1年で土が変わるほど簡単なものじゃあないでしょ、というツッコミもなくはないけど、それでもとてもとても丁寧に、「土と共に生きる精神」を描いていると思う。
田にたわわな穂が実り、師である秀作は土に還った。
人間としての逞しさや豊かな感情、かよわきものへの眼差しを得ると同時に、純粋な「斬り合う者」の強さとは違う方向に向かい始めた武蔵がこれからどうなるのか。
あ〜、武蔵にこんな経験させちゃって、この先どうすんの?
マンガとして作者が小次郎との決戦に対しどういう意味付けをするのか、非常〜に興味深い。
・・・なのに未だ休載中(38巻は早くて来秋か)。
・・・しょうがない。年に1回、田んぼと同じペースで楽しみますか。