2018年11月30日

今年もつけもの日和。

秋は漬物仕込みの季節。
今年も11月の前半に、「タクアン」「ニシン漬け」を仕込んでいただく講座『つけもの日和。』を行いました。

僕は結構いろいろな種類の講座を行っていますが、漬物の講座はかなり大変なものの1つです。
それはまず、事前のダイコン干しなどがあるから。
60〜70本ほどの大根を農家さんの畑から抜いてきて、洗って干す作業をし、その後10日程はダイコンの管理をしなければならないのです。
天候気温に注意しながら、シートをかけたり、時には家の中に入れたり(あまりに冷える日はシバレないように…)
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タクアン仕込みで一番大事なのは大根の干し具合ですから、講座の日を逆算して(その間の気温も予測して)収穫に行き、当日に備えるのは意外と大変で緊張感も多いのでした。
使う日が決まっているので失敗できないですしね。

それでも、数十本のダイコンが干されている姿は圧巻。
なかなか気持ちの良い景色です。



もう一つ、この講座の肝は、ニシン漬けの講師に僕の母を呼んでいること。
何度かこのブログでも書きましたが、僕にソウルフードと呼べるものがあるとしたら、それはこの「ニシン漬け」です。

父が子どもの頃は、貧乏で冬のオカズのメインは毎日ニシン漬けだったと言います。
(ソウルフードって、単なる郷土料理とかじゃなく、もともとは貧しさと一体の食べ物なんですよね)
母が嫁いだ1年目に祖母に仕込みを見せてもらい、翌年からずっと自分で仕込んで約50年。
(僕は貧しい食生活ではなかったけれど)やはりニシン漬けは冬の食卓に欠かせないものでした。

それはあくまで僕の思い出なのですが、北海道の代表的漬物であること、そして母自体がちょっと老いてきて仕込むことが億劫になってきていることを考え、今のうちに多くの人に自分の言葉で伝えて欲しい、と思ったのです。
(「かなりの努力家で勉強家な母に、光りを当てたかった」という息子心もありますけど・・・)

でも、母が今まで感覚的に仕込んできたものを、初めての方にもわかるように失敗なくできるように数値化・レシピ化するのはけっこう大変な作業ではありました(今でも毎年少しずつ改善しています)。
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・・・と、そんな事前の準備を経て迎えた当日。
気持ちの良い、まさに『つけもの日和。』に恵まれて、たくさんの方に集まっていただきました。
(漬物仕込みとしては少し暖かすぎるくらいでしたが)
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初めに、漬物の基本であるタクアンの仕込みをしました。
今回のダイコンがちょっと太すぎて水分が抜けにくかったため、持ってきていただいた容器ではいっぱいになってしまいました。
(無理に予定通りの5本にせずに4本ずつにしても良かったかな)
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使っている米糠は、僕が田んぼを借りている長沼のファームキトラさんの無農薬のもの。



簡単な座学をはさんで、次はニシン漬けです。
ここからは母にバトンを渡し、心構えや材料についての説明をしてもらいました。
今回は10号樽程度の仕込みでしたが、それでもご持参いただいた野菜の量などはかなりの量。
重たい荷を抱えて来てくださった皆さんに感謝しつつ…。
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母流のニシン漬けは、切り方、詰め方に少し特徴があります。
これは、祖母に教わったやり方というより、母が50年の間に少しずつ改良を加えてきたもの。
だから、今回お伝えした仕込みについても、「このニシン漬けを残して欲しい」というより、それぞれが自分好みに変えていって欲しいな、という思いを僕も母も持っています。
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基本や素材の役割を理解した上で、あとは自分のつくりたい味を試していくのが漬物の醍醐味なのではないかと思います。


材料を詰め込む毎に、樽の中の<景色>が変わります。
母は、この<景色>が重要と言います。
塩加減も含めて、「感じを覚えて」と言うのです・・・が、もちろんそれは一度ではなかなか体得しにくく、繰り返し(失敗もしながら)身につけていくことなのだろうと思います。
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「生産者」でも「消費者」でもなく、「生活者」であろうとすれば、この<繰り返し>こそが暮らしの軸なのかもしれません。
毎年同じことを繰り返し、でも、同じことをしているようで少しずつ変える。変化する。
けれど、軸はやっぱりぶれない用にする。
大きな螺旋を登っているような感覚があります。
(ちなみに、それが<ぐるりの暮らし>の所以の1つでもあります)



皆さんの仕込みが終わった後、簡単にお疲れ様と感想シェアリングを行いました。
お茶請けはもちろん漬物です。
母が、この日に向けて作ってきてくれた5〜6種類の漬物を食べていただきながら、しばらく歓談を楽しみました。
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こうして今年も無事に『つけもの日和。』が終了しました。
漬物の仕込みや楽しみは冬中(いや、年中?)続きますが、母とともに行うこの講座、僕には結構大切な時間となっているので、無事に終わってホッとしました。
一昨年は大きなスーツケース(中身は漬物沢山)を引っ張って電車で来てくれた母も、今年は「移動がシンドイ」とのことで、旭川への送り迎え付きで来てもらいました。
「来年はもう出来ないかもしれないよ」と言っていますが、是非体の動く限り、自分の中の知を伝えて欲しいと思っています。

母だけではなく、表舞台に出るわけでもなく淡々と営みとして続けられ蓄積されてきた貴重な知恵市井の偉人たちから学ぶような場をつくっていきたい、というのが今の僕の目標かもしれません。

母と一緒に仕込んだニシン漬け、今年も冬の食卓を飾ってくれることを嬉しく思います。
そして、そんな場に共感・同席して下さった参加者の皆様に、深く感謝いたします。

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★暮らしを学ぶ・暮らしで遊ぶエコビレッジライフ体験塾では、各種講座・イベント行っています。

★イベント情報

『AMAHOROでランプをつくろう』<参加受付中>
1つひとつ形の違うひょうたんを使って、ランプをつくりましょう。デザインを考えコツコツと穴を開けていく作業は、淡々としていますが瞑想にも似た心地よい時間です。
世界に一つだけの、オリジナルひょうたんランプはいかがでしょうか?クリスマスプレゼントにも間に合いますよ。
 〇日時 12月22日(土)12:00〜17:00
 〇場所 AMAHORO(旭川市東旭川町瑞穂177)
 〇参加費 5000円〜 (あまほろランチ付き)
    *ひょうたんの大きさやコードの長さ、種類によって若干値段が変わります。
 〇定員 8名


『とことん生乳!ナチュラルチーズをたのしもう』<参加受付中>
1頭の牛さんから搾った「生乳」を様々に加工しながら、変化していく出来立ての「乳製品」「ナチュラルチーズ」を味わっていただく贅沢な講座です。
 〇日時 1月20日(日)10:00〜16:00
 〇場所 ハイジ牧場(長沼町長沼町東9線南2)
 〇参加費 3,500円
 〇講師 金澤睦司さん(ハイジ牧場場長)
 〇定員 10名


*すべてのお問い合わせ、お申込みは、HPのお問い合わせページ、もしくはEmail、Facebookのメッセージにて承っています。

posted by 野良人イトウ at 09:51| Comment(0) | 体験塾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月03日

倒木から生まれた椅子。

9月の初め、北海道を大きな台風が襲いました。
北海道は割と大きな災害の少ない地域でしたが、ここ数年は様々な災害に見舞われています。
その時の台風でも、それまでの大雨の影響もあって、暴風によりアチコチで大木が倒れたようです。
(その翌日に大地震がありましたが、うちではそちらの被害はありませんでした)

台風の翌朝、裏山に様子を見に行くと・・・
なんと、かなり気に入っていたイヌエンジュの大きな木が倒れていました。
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山に建てた小屋の守り神のようなイメージが僕にはあったので、随分と気落ちしました。
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が、悲しんでいても仕方がないので、何かカタチにして残したいと思い、友人でもある草刈万里子さんに椅子づくりの講座をお願いすることにしました(実は台風の少し前に椅子づくりの講座のことは草刈さんと「そのうちやりたいね」と話していたのですが、まさかこんなふうに実現するとは思っていませんでした)



そして、イヌエンジュを使った椅子づくりの講座『倒木からゴッホの椅子をつくろう』、当日を迎えました。
天気予報は微妙でしたが、作業を始めようとした途端、土砂降りに見舞われ・・・
合羽を着て、「エイヤッ」と外へ。
草刈さんの指示を受けながら、僕がチェンソーを振るいます。
まずは丸太の切り出しです。
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参加者の皆さんは小屋の窓から応援してくれました(笑)。
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テントへ移動し、今度は切り出した丸太から、椅子の足をつくります。
まずは割いて・・・
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丁度良い太さまで、粗削りします。
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その後は小屋で、「削り馬」に固定した材を「セン」という刃物で削っていく作業です。
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木の繊維や曲がり具合を見つつ、それを出来るだけ生かすように考えながら、椅子の足をつくっていきます。
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皆さん宿泊可能だったので18時ころまで作業し、全員が足を完成させることが出来ました。
この手の作業は、黙々とやっても良し、談笑しながらも良し。「削る」という目的が明確なので、誰もが集中して取り組むことが出来ます。
技術の上達もわかるので、単純ですが楽しい作業です。
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夜は、近所の温泉にて汗を流し、夕食。
その後は、記録映像を見たりしつつ、楽しい「合宿の夜」です。
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2日目となりました。
部材を確認し、椅子を組んでいきます。
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背板や貫材は、事前に草刈さんがウチから丸太を持っていって、つくっておいてくれました。
この乾燥具合の違いが、生木でつくる時には効果的なのですね。
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前日に作った足に、ハンドドリルで穴を開け・・・
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貫材などを打ち込んでフレームをつくっていきます。
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多少のゆがみは、いくらでも微調整が可能。
このあたりのワイルドさも、生木での木工の面白さでしょう(グリーンウッドワークというそうです)。
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組む作業は基本的に2〜3人で行います。
押さえてあげたり、角度を横から見てあげたり。
一人じゃできない、というのも悪くはないものです。
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椅子のフレームが出来ました。
微調整してから、いよいよ座面の編みこみ作業にうつります。
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ここからの作業は一人で淡々と・・・。
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繰り返しの作業ですが、初めてだと仕上がりのイメージを持ちづらいのでなかなか大変です。
バランスを考えながら、丁寧に・・・。
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さあ、もう少しです。
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そろそろ仕上げですね。
気を抜かずに・・・最後を納めましょう!
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倒れたイヌエンジュの木から、こんなかわいいゴッホの椅子が5つ、出来あがりました。
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ご参加いただいた皆さん、講師の草刈さん、ありがとうございました!
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お持ち帰りいただいた椅子。
これから大切に使われるのだと思います。

ホームセンターに行けば、今回の参加費で5脚、いや安いのなら10脚くらい買えてしまうかもしれないけれど、それらがお店に並ぶまでの間のことを考えると、「本当にそんな値段でいいのかな?」と思うものばかりです。
少なくともそのモノからは、物語が見えてきません。
何かをギセイにすることで成り立つ安いモノたち…。

今回生まれた椅子は、その対極にある存在のように感じます。


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僕にとっては大切なイヌエンジュの生まれ変わりの椅子。
今回参加された方も、この木自体への想いはなくとも、丸太の状態からつくりだした2日間の物語があります。
そういうモノを長きにわたって大切に使う、そんな暮らしにしていきたい、とあらためて思った今回の講座でした。

残っている木も、何かに使ってあげようと思います。

posted by 野良人イトウ at 18:02| Comment(0) | 体験塾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月26日

ウンコは地球の宝物!

なかなかブログを更新できずに日が経ってしまったけれど、このことは記しておこうと思います。
それはやっぱり「ウンコは地球の宝物」なのだな、ということ。

10月7日に、今年も糞土師こと伊沢正名さんが来てくれたのでした。

伊沢さんに来てもらうのは、当別に移ってから3回目です。
エコビレッジライフ体験塾としては長沼町にいた時にも何度かお招きしていましたが、その頃は「講演」という形でお話だけ聞かせていただいていました。
ここに移ってからは、座学に加えてフィールドワークも行なっています。
このフィールドでの観察会が、毎回とても盛り上がるひと時。
体験塾での伊沢さんの講座の肝だと思っています。
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『ウンコは地球の宝物〜糞土師の糞土教室』開講です。


まずは、今回も座学から。
もともと写真家である伊沢さんの、美しいキノコたちの姿をスライドで見ながら、動物、植物、菌類や微生物たちの間で行われている「生命のリレー」について確認しました。
自然保護運動から写真家を経て、現在の「糞土活動」に至った伊沢さんの遍歴は、何度聞いても面白く、また頷かされるものがあります。
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それにしても、伊沢さんのキノコやカビの写真の見事なこと!
被写体に対する愛情を感じずにはいられません。


つづいて、野糞グッズやお尻ふき用の葉っぱの紹介です。
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たかが葉っぱ。されど葉っぱ。
様々な環境で野糞をしてきた伊沢さんの長きにわたる経験の蓄積は、聞けば聞くほど味わい深いものです。
ただ拭けば良いのではなく、より心地よく。より楽しく。
そしてもちろん、自然の理にかなった方法で。
これこそが「知恵」「文化」でしょう。
まさに・・・ノグソフィア!
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いよいよ屋外に出てフィールドワークへ。
朝から降っていた雨はほとんど上がりましたが、まだ少しパラつく中、山や畑を見てまわります。
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様々な葉っぱを、使い方を考えながら触れて、観察しました。
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フィールドでのメイン実習は・・・
イトウの「ウンコの掘り返し」!
今年も、約3か月前からこの実習のためのモノを仕込んでおいたのでした。
(野糞自体は夏場はほぼ毎日するのですが、実習用に分かりやすくいくつか用意しておいたのです)
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まずは3か月前のモノから。

掘り返してみると・・・
おお、無数の植物の根が…!
キノコと菌糸が…!
そして、菌核が…!
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僕のウンコは、まぎれもなく多くの生き物のゴチソウ!でした。
虫やミミズや微生物が食べて、キノコが食べて、そして植物が食べにやってきています。
水洗トイレに流せば、ただのゴミとして処理され途絶えてしまう「生命のリレー」が、こうして野に戻すことでつながっていく・・・
それだけでも、「この世界で立派に生きている!」と感じました。

もう一つは1か月ほど前に仕込んだウンコ跡。
そこからは・・・
なんと、トマトの芽がたくさん生えていました!
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僕が食べたトマトは、そのタネをウンコに込めて残し、ウンコの分解を待って発芽させたのです。
僕は、なんだか自分が随分と価値ある仕事をした気分になりました(笑)。


フィールドワークの最後は、野糞の達人より、野糞のワザを伝授。
しゃがみ方、穴の位置や深さ、お尻の洗い方等・・・
伊沢式の野糞は、自然との調和に加え、人間界でのマナーにもちゃんと対応しています。
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室内に戻って、おやつの時間。
(ココアクリームにミントを添えました(笑))
時間いっぱいまで、熱く、楽しく、ウンコ談議に花が咲きました。
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そして、ウンコ談議は夜の部・交流会でも。
真面目な環境の話から、ウンコにまつわる失敗談まで、話題は途切れずに続きました。
「食事中にウンコの話なんて…」と言われるかもしれませんが、食事中だからこそ、一対であるはずの排泄の話もしっかり出来たらよいのじゃないかなあ…。
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というわけで、今年も楽しい『糞土教室』が終了しました。
実は今年は例年に比べて参加者数が少なく、ちょっともったいなかったです。
これだけ「循環」や「つながり」「共生」という言葉が聞かれ、安全安心な食べ物の話や健康に関心を持たれる中、本来話題の中心になるべきウンコ問題が結局タブーのままなのはおかしいよなあ、と思います。
「ウンコドリル」って本が流行ったりもしましたが、ウンコ自体がネタになるのではなく、「ウンコの行く末」こそが大切なわけで…。

まだまだ伊沢さんには、糞土師として活躍していただきたいものです。
僕も糞弟子の一人、糞土研究会員として、日々ウンコと土について考えてつつ・・・実践もしていきたいと思います。
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posted by 野良人イトウ at 06:36| Comment(0) | 体験塾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月21日

下川町にてウンコを語る。

下川町で「コンポストトイレ」の講座をさせていただきました。
下川は以前よくお邪魔していた大好きな町なので、「NPO法人森の生活」さんより講座の依頼を受けて、まず「やった!下川に行ける!」と喜んでしまいました。

それはさておき、コンポストトイレについて「講座」としてお伝えするのは実は初めてなのです。
需要もよくわからないし、「つくる」ことよりも「維持」しながら課題が生まれるのがコンポストトイレなので、自分で講座として企画したことはありませんでした。

が、自分の実験的なコンポストトイレ使用を始めたのは約10年前。
それから数々の失敗をしながら、コンポストトイレを実践してきました。
排泄の問題は、このブログでも何度も記してきた通り、僕にとって核になるテーマの一つですから、こういう機会をいただいたことは僕にとってもチャンスです。
とても嬉しくて、張り切って準備させてもらいました。

さらに、今回は「トイレづくり」ともう一つ、「トイレのための小屋づくり」も行うことになり、盛り沢山の2日間となりました。
(結構なボリュームの仕事となったので、ほとんど写真も撮れませんでした…苦笑)



9月15日(土)は朝4時半に家を出て、下川町へ。
講座は10時からだったのですが、基礎からつくって1日である程度小屋を建ててしまわなければならなかったので、できるだけ早くに着きたかったのです。
高速を使って3時間、7時半には会場となる下川町の美桑が丘に到着しました。
さっそく、遣り方を組み、材料の下準備・・・。
(実はかなり重要な材料を忘れており、名寄市に買いに行ってもらったりもしました…汗)

10:00、いよいよ小屋づくり開始です。
一往「講座」という形式をとっているのでところどころ説明しながらなのですが、あまり丁寧にやっていては作業が進みません。
ちょっと強引かなあ、と心配しつつもどんどん仕事を割り振って作業を進めました。
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独立基礎を入れて・・・
パネルをつくって立ち上げて・・・
防水シートで囲んだところでこの日は終了。
(残念ながら、目標にしていた屋根下地までは出来ませんでした・・・そりゃそうだ)


2日目10:00からが、今回のメインである「コンポストトイレ講座」なのですが、小屋もある程度仕上げてしまわなければならないので、朝の5時半ころから僕は作業開始(まだ暗い時間帯…)。
助っ人が来てくれたこともあって、垂木をかけるところまでは朝の時間で出来ました。
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頭の中を切り替えて・・・!
さあ、いよいよコンポストトイレ講座です!

午前中は座学で、じっくり僕が考えていることを話させていただきました。
ウンコのこと。
土のこと。
コンポストのこと。
地球上の終わりなき「循環」のこと。

そして、そういう視点で見た時、いかに現代の「快適な水洗トイレ」が歪かということ・・・。

いえ、水洗トイレを悪者にするつもりはないのです。
今の社会、都市という空間では必要なものでしょう。
ただ、それがどのような仕組みで維持されているのかを知り、これまでの「常識」に少し違和感を感じてもらえたら、僕が今回伺った意味が生まれるような気がするのです。


みくわのメンバーの方々による美味しい昼食をいただき・・・
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午後は、実際のトイレづくりと既製品のコンポストトイレの観察など。
自作のトイレは「屎尿分離型」。
それに対して、今回森の生活さんで購入したのが「一体型」。
どちらにもメリット・デメリットがあるので、それをできるだけ詳しく説明しました。
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はっきり言って、コンポストトイレの「維持」は簡単ではありません。
「すぐ故障する」なんて声を聞いたこともあります。
「故障」というのが、装置の問題なら仕方ないですが、コンポストトイレを製品化している会社に寄せられる苦情の多くは、「うまくコンポストにならない」とか「ニオイや虫が出て不快」というような話のようです。
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難しい問題です。
何故なら、コンポストトイレは、ただの機械でも道具でもありません。
「モノ」という感覚では、きっとうまく維持できないのではないかと思います。
大事なのは、このトイレに対し「生き物としてかかわる」愛情なのかもしれません。

今回の講座を経て、僕もいろいろな気づきがありました。
まず、コンポストトイレを考える時一番の課題となるのが「設置場所」だということです。
どうしても「造り」や「維持管理」に焦点を向けてしまうのですが、水洗トイレしか選択肢のない日常にどうやってコンポストトイレを導入するか・・・それを僕自身ももっと真剣に考えていきたいと思います。
(最近の僕は、コンポストトイレすら使わずに「山で用を足す」のが当たり前になっているので…)

「都市のアパートでも試せるコンポストトイレ」。
興味を持った誰もが一歩を踏み出せる方法を見つけなければなりませんね。
だって、「ゴミとして水に流して大量のエネルギー使って誰かに処理してもらう」よりも、「人間以外の他の生き物と同じように、自分の出すものも誰かの糧になって循環する」方が気持ちがいいですから。


10月7日(日)には当別に、ウンコの神様…いや、糞土師・伊沢正名さんが来ます。
伊沢さんにも「都市型コンポストトイレ」のアイデア、相談してみようと思います。



さて・・・
講座の後は、夕暮れまでまた小屋づくり!

日没ギリギリまで作業して、何とか野地板を張り、下地の防水までは出来ました。
うちで造っていった建具(ドア、窓)も入れたので、なかなか素敵な雰囲気になっています。
これから下川の皆さんでちょこちょこ作業をして、「トイレ小屋」完成してくれることになっています。
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このトイレに会いに、また下川にも行きたいな!

そして、コンポストトイレについてももっと研究を重ねて、皆さんにお伝えしていけるようにしようと思います。
ウンコ問題、それは生物の1つである人間の、水に流しては終われないテーマです。
伊沢さんの言葉を借りるなら、「ウンコは良識の踏み絵」。

マジメに、楽しく、もっとウンコの話が出来ますように・・・!


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★暮らしを学ぶ・暮らしで遊ぶエコビレッジライフ体験塾では、各種講座・イベント行っています。

★イベント情報
 
『ウンコは地球の宝物〜糞土師の糞土教室2018』<参加受付中>
今年も、糞土師・伊沢正名さんを講師に招き「本物のエコロジーとはどういうことなのか」、「生き物として人の生活はどうあるべきか」などについて、大いに語っていただきます。もちろんフィールドワークでは、糞土師の野ぐそ術もお伝えします。
  〇日時 10月7日(土)13:30〜17:00
  〇場所 石狩郡当別町金沢147-1
  〇参加費 3000円
  〇講師 伊沢正名さん


『秋山散歩。』<参加受付中>
ネイチャーガイドの喜多としろうさんに案内していただきながら、裏山を探索します。
秋の植物やキノコなどの様子を観察し、季節による変化を楽しみましょう。
  〇日時 10月6日(土)13:30〜16:30
  〇場所 石狩郡当別町金沢147-1
  〇参加費 1500円
  〇講師 喜多としろうさん


『明日のためのタネ採り講座』<参加受付中>
当たり前にあるけれど、タネっていったい何?・・・というところからスタートし、タネという存在についてちょっと考えてみましょう。
タネに親しみ、「自家採種の意義」を考えながら、実際に10種類ほどのタネ採り実習を行う講座です。
〇 日時 10月14日(日)10:00〜12:00
〇 場所 当別町金沢147‐1
〇 内容 ・自家採種の目的、意義(座学)
     ・タネとり実習
〇参加費 1500円
〇定員 12名

*すべてのお問い合わせ、お申込みは、HPのお問い合わせページ、もしくはEmail、Facebookのメッセージにて承っています。
posted by 野良人イトウ at 22:48| Comment(0) | 体験塾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月13日

やっぱり「独立型」でいこう。

台風の翌朝(深夜)に大きな地震、で、直後から停電。
結果的にここ当別はかなり早い段階で電源復旧したこともあり、ほぼ困ることはなかったのですが、久しぶりに自分のソーラーシステムと向き合ったので記しておきます。

僕は200wのソーラーパネルとシステム、もう一つ20wのパネルとシステムを持っています。
実は、ここ1年半ほどそれらを使っていませんでした。
バッテリーが弱っていたので充電がままならなかったのと、山の小屋をオフグリッドにするのでそちらで使おうとパネルを母屋から外してしまっていたからです。

理由はあるのだけれど・・・まあ、気が緩んでいた、ということですね。



それはさておき、6日の朝イチでソーラーパネルを母屋に戻し、バッテリー等のセットを部屋の奥から引っ張り出しました。
天気はまあまあ。
200wのシステムなら、照明や携帯充電はモチロン、パソコンもラジカセも使えます(冷蔵庫は厳しいけど、Wifiはイケる)。
「さあどのくらい発電してるかな♡」とわくわくして、パネルとチャージコントローラーを接続。

ところが・・・
システムの中心、大事な制御装置であるコントローラーが動きません。
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「あれ?しばらく使っていなかったからなあ」
「壊れちゃった?」
「あ、そうか。バッテリーを先につながなきゃダメだったんだ」

一度取り外し、バッテリーとコントローラー、そしてパネルを接続しました。
これでコントローラーがピピっと作動するはず!

が・・・
やっぱり動きません。

いろいろつなぎ直したりしたけれど、結局200w用のチャージコントローラーは動かず。
「チャジコン、壊れちゃってたか…」
過重電などを防ぐ制御装置であるこの機械が壊れていると危険なので、このシステムはあきらめることにしました。
(その後また調べて、結局バッテリーがダメになっていることが原因と判明)



情報源であるラジオは、小さな発電機のついたものを使っているので問題ないのですが、意外と電気喰いのスマホがお腹を空かせていました。
「ダイジョウブ!うちにはもう一つシステムがあるじゃないか」

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今度は20wの方を取り出し、組んでみました。
コントローラー(小)、バッテリー(車用)、20wパネル…と接続すると・・・

「ピカーン!」
コントローラーの電源が入って、緑のランプがつきました。
「よし、こっちはOKだ!」

以前住んでいた古い家で、コンポストトイレを置いていた縁側に設置していたのがこのシステムでした。
12V用のLEDで照明メインで使っていたのです。
今の家に越してきてからは、あまり必要性を感じずに、物置に積んであったものでした・・・。



朝の強い光を受けて、スマホもぐんぐん充電されていきます。
シガーソケットから直流で使えるアダプタもあるので、パソコンも充電しておきました。
(このシステムでは100Vに変換するインバーターは使いません)

今回使ってみた実感としては・・
「20wでまずは充分じゃん!」
です。
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日常的にいろんな機器を使いたいなら、600wくらいのシステムを組みたいところですが(山の小屋にはそうするつもり)、主に非常用とアウトドア用くらいに考え備えておくなら、20w程のシステムがあれば充分。
コレのあるなしで、安心感がまるで違います。

情報共有するためのスマホを維持できて、夜は少し明かりをくれる。
なんて頼もしい存在でしょう!



エコビレッジライフ体験塾では毎年、由仁町の早川さん(イオさん)に来てもらって、『独立型太陽光発電講座』を行っています。
今年も8月に開催しました。
でも、実は今年の参加者は3名でした(過去最少)。
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イオさんによると、「ここ数年はどんどん道内でのソーラーの講座が減ってるんだよね…」とのことでした。
原因はいくつか考えられるのですが、一番は311の時の危機感が薄れた、ということなのだと僕は思っています。

それと、例えば講座で100wのシステムを組んでみた時、皆さんどうしても発想として「これで何がどのくらい使えるの?」と考えます。
もちろん当然のことなのですが、「お日様が照っていればこのくらいイケるけど、夜になったら照明がこのくらいかな」と伝えると、「ああ(たった)その程度か…」と思われる方が多いような気がするのです。

金額的に手が届く大きさと、日常的にオフグリッドできる大きさ・・・
それがなかなかマッチしないのかな、と思います。
その感じは僕にもあるので、よくわかります。



でも!
今回あらためて思いました。

「まずは20wのシステムを持ちましょう!」
車に積んで屋外に持って歩けばいいし、イザという時に本当に頼りになります。

使い方に慣れて(オフグリッドシステムはイキモノみたいにお世話が必要ですから)、面白さがわかってきたら、少しずつ大きなシステムに移行していけばいいんです。
そのやり方は、技術も機器も、どんどん進歩しています。

そして何より、小さな電気をつくる「喜び」。
少しの電気が与えてくれる「ありがたさ」。
そういうものを思い出させてくれるのが、自分で組む、「小さな発電所」なのです。

「停電になったら嫌だから(←その程度の感情)、原発でバンバン電気つくってくれ!」
「おうおう、わかったわかった、従順にしてたら電気売ってやるよ」
なんて発想にエラソーな顔をさせないためにも、「独立型」の精神でいきましょう。

不便は楽しい。
不便は自由。

ちっちゃなところから、「自立」への道が始まります。

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ちなみにこんなのもあります(今回はイマイチ使えなかった…)
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★暮らしを学ぶ・暮らしで遊ぶエコビレッジライフ体験塾では、各種講座・イベント行っています。

★イベント情報
 
『ウンコは地球の宝物〜糞土師の糞土教室2018』<参加受付中>
今年も、糞土師・伊沢正名さんを講師に招き「本物のエコロジーとはどういうことなのか」、「生き物として人の生活はどうあるべきか」などについて、大いに語っていただきます。もちろんフィールドワークでは、糞土師の野ぐそ術もお伝えします。
  〇日時 10月7日(土)13:30〜17:00
  〇場所 石狩郡当別町金沢147-1
  〇参加費 3000円
  〇講師 伊沢正名さん


『秋山散歩。』<参加受付中>
ネイチャーガイドの喜多としろうさんに案内していただきながら、裏山を探索します。
秋の植物やキノコなどの様子を観察し、季節による変化を楽しみましょう。
  〇日時 10月6日(土)13:30〜16:30
  〇場所 石狩郡当別町金沢147-1
  〇参加費 1500円
  〇講師 喜多としろうさん


『明日のためのタネ採り講座』<参加受付中>
当たり前にあるけれど、タネっていったい何?・・・というところからスタートし、タネという存在についてちょっと考えてみましょう。
タネに親しみ、「自家採種の意義」を考えながら、実際に10種類ほどのタネ採り実習を行う講座です。
〇 日時 10月14日(日)10:00〜12:00
〇 場所 当別町金沢147‐1
〇 内容 ・自家採種の目的、意義(座学)
     ・タネとり実習
〇参加費 1500円
〇定員 12名

*すべてのお問い合わせ、お申込みは、HPのお問い合わせページ、もしくはEmail、Facebookのメッセージにて承っています。
posted by 野良人イトウ at 06:34| Comment(0) | 体験塾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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