2016年02月18日

シュールな1日。

「発酵マニア」なら一度はお目にかかりたい(いやお舌にかかりたい?)のがシュールストレミング。
そう。「世界一臭い食べ物」と言われるアレ。スウェーデンの缶詰です。
加熱せずに缶に詰めてるので、内部で発酵がすすんで爆発寸前、っていう「噂のアイツ」です。

興味ありますよね?
え?全然ない?
なんでわざわざそんなもの食べるんだ、って?
・・・そりゃあ、そこに「醸された食べ物」「醸しの食文化」があるなら、触れて感じてみたいじゃないですか。

でも、アレ、当然そこらじゃ買えないし、通販なんかで手に入れようと思っても6000円くらいするのです。面白半分で買うにはちと高級なんですね。

だったら誰かとシェアすればいいよね、ってことで、一緒に面白がってくれそうな友人たち(ギセイシャ?)に声をかけたわけです。
シュールストレミングだけじゃさみしいだろうから、「他にもいろいろ試してみませんか?」と。

こうして、友人10数人に集まっていただき今回の企画『臭いはほんとに旨いのか?!会』(略して臭旨会)が発足したのでした。



当日1週間前、順々に「ブツ」が送られて来ました。
来ました、コレがボスキャラ!
ちょっと常温に置いておいたら、缶が膨れ始めてます・・・!
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そして当日。

まずは本日のラインナップを紹介しながら記念撮影です。
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シュールストレミング、ホンオフェ、くさや、臭豆腐、ブルーチーズ、おまけでピータン。

ピータンは、臭いのもあるらしいんだけど、今回のはハズレなのか(!?)普通に美味。
ブルーチーズも僕の買ってきたのは、残念ながら(!?)臭みが少なくやたらと美味。

「こんなものなのか?」
・・・と気を緩めた時に現れたのが、中国代表選手・臭豆腐。
これはかなりきつかった!!(臭い少ないのもあるらしいんだけど…)
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この、でろ〜〜〜ん、てとこがヤバイ・・・。
でも、本体の中の方は結構美味いかも・・・。



お次は日本代表・くさや。
温室で炭起こして焼いて食べましょう。
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半屋外で鶏舎のニオイもしているためか、この時点ではそれほど臭わず。

室内に持っていくとさすがに「うわあ〜〜〜!」と歓声?があがりましたが、やっぱり日本人好みの味なのか、それなりに美味いね、という方多し。



いよいよ第2位、副将とも言えるのは、韓国代表・ホンオフェ。
「熟成させたエイの刺身」です。
(「刺身」と「熟成」は果たして同居して良いものなのか!?)
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・・・ん?臭いはそうでもないかしら・・・?
と、思って口に入れると・・・・
「ボン!」とアンモニアが爆発いたしました。
こ、こ、これって、昔の古くて汚い公衆トイレ(もちろんボットン)の底から攻めてくるのと同じ物質・・・!?
食べていいの?大丈夫???
・・・僕的にはこれが一番苦手でした。



ホンオフェにかなりヤラレたみなさんですが、本日のメイン、キング、ボスキャラさんへの「もうドーンと来い」な期待はいやがおうでも高まります。

シュールさん、登場!
僕が代表して雨具を身にまとい、温室で缶を開けます。
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ひと押し、グッと缶切りの歯を入れたとき・・・
「プシャーッ!!!」
勢いよく飛び出したシュールな液体は、漫画のように僕の顔面を襲いました。

ビールかけならおめでたい気分にもなりますが、シュールかけはその後数日感はおぞましい気分にやられることでしょう。・・・ということを体験的に学ばせていただきました。みなさん、気をつけましょう。

臭いはやっぱり世界チャンピオンと呼ぶに相応しいものでした。
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・・・が、味は・・・

実は案外美味しくて、これなら大丈夫!とみなさんジャガイモやパンに乗せて結構召し上がってましたね。強烈な塩辛、って感じでしょうか。



その後しばらく「臭旨会」の宴は続きました。
みかんやりんごばかりに手が伸びていましたが。
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そして翌日。
残ったホンオフェがもったいないので、夕飯に出してみました。
韓国で食べるらしい方法、焼肉と一緒にサンチュやレタスに巻いていってみましょうか。

が・・・
まずは臭い!
昨日はまだ完全に氷が溶けておらず、臭いはそうでもなかったのですが、全てが溶けた常温ホンオフェ、激しく危険な香りです。
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「ぎゃあ!」と思わずのけぞるM氏。

ただ、この方法で食べると、案外イケルかも?と思いました。
噛んでいるとツーーーンとアンモニアが口に広がるのですが、なんか薬味っぽい感じもあります。
わさびを巻いてるようなものかしらん。
ソレだけ食べるものじゃあないんでしょうね。


今回はイキオイで企画しちゃったけど、それぞれの地域の食文化に触れるのはやはりとっても面白いことです。
作られ方や歴史、科学的なこと、本来の食べ方、作法など、いろいろ調べて知識も深めながらやると、もっと面白くなりそうな予感がします。「ゲテモノ食い」じゃないからね。
今度はちゃんと準備して(学びのプログラムとして)、体験塾のイベントにしてみようかなー。


posted by 野良人イトウ at 19:15| Comment(0) | 発酵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月02日

味噌のようなおつきあい?

少し前の話になりますが、1月24日(日)に札幌の友人宅で「発酵講座」をさせていただきました。
「醤油」と「味噌」を1日で仕込む、贅沢な企画です。

自宅をヨガスタジオとしているその友人Cさん宅は、とってもスタイリッシュでお洒落です。
そんなところで軽やかに醤油や味噌を仕込んじゃおう、という講座には、もちろんたくさんの素敵な方々が来てくださいました。
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(…「発酵食品づくり」の入口はお洒落で軽やか、でもそこで終わらずだんだんディープな「環境や生命観」の方向に僕は話をすすめるのですけどね…)



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座学で「醤油ってなんだ!?」という話をしたあとは、さっそく仕込み。
講座では、単に手順やレシピを伝えるのではなく、「行っている作業の意味」や「イキモノ視点」をとらえていただくように気をつけています。
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醤油を仕込んで一息ついたら、味噌の講座です。
味噌と醤油はいとこみたいな関係だけれど、氏より育ち、やっぱりいろいろ扱い方は違ってきます。
続けて行うことでそれぞれの価値を感じていただけたら嬉しいのですが。
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「タネ味噌」として、Cさんが一昨年に仕込み、この家で熟成した味噌をみなさんの樽に投入。
発酵菌が分家されていきました。
今回一緒に味噌仕込みをした方たちは、来年は兄弟のような味噌を味わって暮らすのです。
人のかかわりも味噌のように多様で、かつ時間をかけて熟成していくものなのだろうな、と考えると、なんだかわくわくしてきますね。
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参考までに、蒸し米に麹菌を種付けする様子を見ていただきました。
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このあとこの「麹のもと」をCさんに託したのですが、日中会社勤めのCさんは、なんとお腹に入れて麹を温め育ててくれたそうです。さすが!



今回企画してくださったCさんは、一昨年、通年で体験塾に参加していた方で、その後は友人としておつきあいを続けさせていただいています。
1年間通年で同じ時間を過ごしたからこその信頼関係があるような気がして、やはり僕は「通年で学ぶ塾」にこだわってしまいます。
かつて「主催者」と「参加者」であった関係が時間をかけて深まって変化して、たとえば今回のように一緒に催しをできるようになるのを僕は本当に嬉しく、ありがたく感じています(Cさん本当にありがとう!)。

それはやっぱり、「まるで味噌のようだなあ」と思うのでした。
慌てずに、時間をかけて発酵していくような関係性を大事にしたいものですね。



余談ですが、この企画の打ち合わせのときに、たまたま一昨年塾に通ってきていた時のCさんのファイルを見せていただきました。
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そこには毎回びっしりとメモやイラストが書き込まれていて、それはまるでひとつの優れた教科書のようでした。
こんなに真剣に学んでくれていたんだ…と思うと、嬉しくて僕は涙が出そうでした。
(何故なら、僕も毎回身を削るつもりで真剣に準備していましたから…)

小さくて地味な体験塾の活動ですが、Cさんのファイルは「こんな喜びがあるなら続けていける!」と思わせてくれたのでした(重ねてCさん、ありがとう!)。



★暮らしを学ぶ・暮らしで遊ぶ「エコビレッジライフ体験塾2016」、各種公開講座を予定しています。

『ひと粒のタネのちから〜タネ交換会2016』
〇日時  2月20日(土)18:45〜21:00
       @18:50〜19:50 映画上映 
       A20:00〜21:00 タネ交換会
〇場所  札幌エルプラザ(北区北8条西3丁目)2F環境研修室1、2
〇参加費 1000円
〇お問い合わせ・お申し込み
       エコビレッジライフ体験塾 伊藤伸二まで
       (電話よりもできるだけメールにてお願いします)
posted by 野良人イトウ at 11:37| Comment(0) | 発酵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月05日

醸友、増えてます。

僕が醤油造りを始めたのは5年前。
その前からしばしばドブロクや味噌を仕込んでいたので、醤油もそれほど深く考えずに手をつけてみたのですが、いざ試してみると味噌と違って醤油にはほとんど手がかりがありませんでした。近所に「お醤油屋さん」があったので、これ幸いと足を運んでみたのですが、すでにそこでは醤油は造っておらず委託しているとのことでした。
結局、幾つかの本を参考にしながら自分なりに試行錯誤を繰り返してきたのでした。

初めて「これは美味い!」と言えるものが搾れた2013年の春・・・嬉しかったなあ。
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その後も、いろいろな味噌や漬物、麹、酒、それからコンポストに踏み込み温床等々、発酵の類をライフワークとして仕込んで楽しんできました。
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それは、なんていうか、「小さなイキモノとの戯れ」のような時間かな。



僕は「蔵の人」ではありません。
完全なシロート。
でも、だからこそたくさん試して勉強しているつもりだし、「オモシロイ!」と感じられる気持ちを共有したいって思いも強いのです。
「一緒に面白がって、小さなイキモノとの戯れに誘いたいな」と。



そんな僕の思いを汲んでくれるかのように、最近、ちらほらワークショップをさせていただいています。
僕が企画する体験塾の講座以外に、講師として招いていただいて、「発酵を楽しむ」機会を設けていただいているのです。

先月は洞爺地区のTさんが企画して下さり、15名くらいの方と「醤油仕込み」を行いました。
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ワークショップでは、醤油麹の仕込みは大変なので米麹の種付けを実演。
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仕込んだ醤油を1年後にみんなで味見するのも楽しみの一つ。
つまりそれは、「共に仕込んだ人たちとのつながり」を味わうことでもあります。
先日行った餅つき会では、2014年秋に一緒に仕込んだ友人たちと「味くらべ」を楽しみました。
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今月は、7日、9日に札幌の児童会館で『納豆造り講座』、23日に『味噌仕込み講座』を予定しています。
下知識がない子ども達の感覚に触れるのも、なかなか面白いものです。

そして、24日にはヨガスタジオを持つ友人宅で、『発酵食品講座』をさせていただきます。
これは味噌と醤油の2部制。
「味噌はやったことあるからー」という方にも「へえ!」と思ってもらえる味噌講座、やりますよ!
詳細はこちら⇒発酵食品講座

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長い冬、いろいろ醸しながら、僕らを支えてくれる小さなイキモノの声に耳を傾けてみませんか?
posted by 野良人イトウ at 22:10| Comment(0) | 発酵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月02日

漬物シーズン到来。

昨日は、「しらおい村づくりクラブ」さんにお招きいただいての「タクアンづくり」講座。

カメラを忘れていったのでその写真はありませんが、4日前に仕込んだタクアンやザワークラウト、塩加減を変えた白菜浅漬等々を持参し、試食もしていただきました。
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でも・・・「漬物講座」なんていうと、佐藤初女さん的ないい感じのご婦人が講師をした方が雰囲気ありますよねえ、スイマセン(笑)。20年後くらいには多少貫禄も出てるかな。
とは言え、僕の微生物・発酵愛もかなりのもんだと自負しております!
僕は漬物造りも「イキモノたちとの饗宴!」みたいに考えてるので、その辺を話しつつ一緒に仕込んできました。
参加された方たちが、「もっといろいろやってみたいなー」と思っていただけてたなら嬉しい限りです。



・・・というわけで、漬物シーズンが到来。
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僕も11月は、実家に行って母と一緒にニシン漬け仕込んだり、キムチ仕込んだり、新たにタクアン仕込んだりする予定です。
本当は、長沼でも「タクアン講座」やりたいし、年度当初は「ニシン漬け講座」も開催するつもりだったのですが、悔しいけど多忙のため中止します。
来年こそ、45年(くらい、たぶん)作り続けてきたウチの母を講師に「ニシン漬け講座」やります!
(今年はひっそり自分が喰う分だけ仕込みます・・・)



とりあえず近所の直売所で買った大根を干したり、切干にしたりしております。
(今年もうちの畑では大根、大きくならなかったなー)
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posted by 野良人イトウ at 18:14| Comment(0) | 発酵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月28日

魂の雫。

2014年春仕込みの醤油を搾りました。
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10月23日の夜から始めて、まずは自重のみで落とします。
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ぽたり、ぽたり、ぽたり、ぽたり。
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いい香りです。
美しいです。

24時間かけて落とした後の諸味にも、まだまだ「醤油」がたっぷり含まれていますので、今度は重しを乗せて圧搾します。
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3/4くらいは自重で落ち、1/4くらいは圧をかけて搾りました。
もっと高圧をかければたくさん搾れるのでしょうけど、自力ではこんなものです。
それに、ギュウギュウ絞ると、やっぱり濁りも増して味も落ちてしまう気がします。



このまま生きた微生物を残す「生醤油」でいただいてもいいのですけど、常温で置いておくと味が落ちてしまうので、僕は「火入れ」をしておきます。
(1ℓくらいなら生醤油のまま、冷蔵庫保管でいいかもしれません。それでも乳酸発酵が続くと酸っぱくなるかな)
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火入れは、80〜85℃で、20分ほど。
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この揮発する香りは・・・・もう、たまりません。
火入れすると、香りも良くなると思います。

熱いまま、しっかり殺菌したビンに移して、完成!
今年も醤油、できました!
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みんな、お疲れ様!ありがとう!
(↑協力してくれた多種多様な菌に言ってます)

今回は、自重のみで滴った「1番搾り」が2.8ℓくらい、重しをのせた「2番搾り(と呼ぶかどうか知らないけど)」が1リットルほど。



自分の記録としてあらためて記すと、今回使用した原料は以下のとおりです。
・青大豆1.3kg、黒大豆0.7kg
・小麦(ユメチカラ)2・0kg
・塩1・4kg
・水(エリクサー水)5.3ℓ

仕込んだすべてをそのまま使える味噌と比べ、半分以上が「かす」となってしまう醤油は、やはりとても貴重で贅沢な調味料ですね。
今回も、3.8ℓの醤油に対して4.5kgの諸味粕が残りました。
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もちろんこれも捨てはせずに調味料として使いますが、一般的には「粕はかす」、です。



それから、しばしば「醤油を作るのってどのくらい大変ですか?」「どのくらい時間かかりますか?」と聞かれるのですが、実はなかなか難しい質問だったりもします。

一番大変なのは醤油麹を育てるところだから、それを購入してしまえば随分カンタン。
本来すべき「櫂入れ」というメンテナンスも、それほど熱心にしなくてもそれなりに出来たりもします(まあ、それなりに、だとは思いますが)。
こういうのって、どの程度のことをやりたいか、でまったく変わってきますよね。
精度を求めず省略しようと思えば、結構できてしまいます。
(味噌は「カンタンです!!」って単純に力強く言えますけどね…)

僕の場合、原料となるダイズやコムギの栽培からやっているので、はっきり言って「3年以上!」かかっています。
まず、2012年の9月にコムギの種まきをし・・・
2013年の5月にダイズを播き・・・
その年の8月にコムギを刈って、精穀し・・・
10月にダイズを刈って、精穀し・・・
2014年の4月に3日間かけて醤油麹を育成した後、仕込み・・・
そして、2015年の10月に、搾って火入れ。

・・・とまあ、(簡単に言えば)こんな工程を踏んでおります。
こうして出来た醤油を、1年かけて使い、来年の秋には今春仕込んだものを搾るのです。



「何故そんなメンドくさいことをするのか?」
と言えば、「そういう暮らしをしたいから」であり、「本当の<知>を得たいから」です。
欲しいのは、上澄みをすくったような<知識>ではなく、肉体や感情、そこに必要な時間を内包した<経験>によって蓄積される<知>。
小さな石を積み上げていくような作業だけれど、肉体や時間を伴わないような<情報>だけで構築されていっているような社会だからこそ、愚直に経験を積み重ねることの価値を僕は感じてしまいます。

3年かけた醤油造りによって、僕は、人間が経てきた歴史やこの世界での人間の他の生き物とのかかわりに想いを巡らせています。
それはきっと、幸福な時間です。
そしてやっぱり、そんな感覚は、パソコンの画面を見つめていても絶対に得られないものなんですよね・・・。


posted by 野良人イトウ at 08:15| Comment(0) | 発酵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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