最終回のメインの活動が「味噌の仕込み」と「しめ縄づくり」なので、僕は前日から豆を煮たり稲わらを湿らせたりと大忙し・・・といっても、実際の「味噌の準備」はその前夜の「豆の浸水」から、いやその数日前の「脱穀」や「選別」から、さらに1カ月前の体験塾でもやった「麹づくり」から、いやいやもっと遡って「豆の播種」や「田植え」からすでに始まっていたわけで・・・
などと考え始めればきりがないのだけれど、暮らしって本来、切りようのない連綿と折り重なるように続く営みなのです。今回仕込んだ味噌を食べ始めるのは来年の秋ですし、残った大豆は来年のタネになり、しめ縄は正月を過ぎれば燃やされ灰として来春の畑の肥やしとなり次の生命の糧へと繋がる・・・
そんな「つながり」の感覚を少しでも感じていただけたらいいなー、と願って毎回体験塾をやっているわけですが、今回は特にその集大成として、「味噌」と「しめ縄」を最後のプログラムに選んだのでした。
仕込み始める前に、「味噌」についてちょっとお勉強。
材料や分量、工程のことはもちろん、その材料(大豆、麹、塩など)がどういう働きでどんな変化をしていくのか、を仕込みの段階でイメージすることがけっこう大事なんじゃないかと僕は思うのです。
単純に言えば、「味噌づくり」は麹の持つ酵素・プロテアーゼが大豆のタンパク質をアミノ酸に変える働きがメインなのですが、野性の乳酸菌や酵母など様々な微生物の働きによって「大豆」や「米麹」が時間をかけて「味噌」というまったく別なものに変化していく・・・・「味噌づくり」はそんな「生命のダイナミズム」そのものなのです。
十分それを伝えられたか自信はありませんが、とにかくただ「作り方」を伝えるのが僕の役割ではないので、味噌から「生命の神秘やスバラシさ」を少しでも感じてほしいなーと思うわけですね。
3年物の味噌と1年前に仕込んだもの味の違いを確認していただいたりもしました。
さあ、いよいよ「仕込み」スタート。
時間をかけて柔らかく煮た大豆をまずは潰します。
独りでやったら結構しんどい作業なのですが、こんなふうに大勢で楽しくおしゃべりしながらやると、あっという間です。
ちなみに今回の材料は、青大豆3500g、米麹4500g、塩1700g、それと種味噌700gを使っています。
種味噌は、前に作った味噌を少量混ぜ込むものです。入れても入れなくてもいいかと思うのですが、入れた方が発酵は安定するようです。
それに、過去のいろんな方々の持ってた常在菌を少しずつ受け継いでいくのも面白いかなーと思って、久しぶりに使ってみたのでした。
全ての材料を混ぜます。大豆の煮汁を足して柔らかさを調整しながら、ひたすら混ぜます。この段階で均等に混ぜられていることも、美味しい味噌の条件ではないかと思います。
材料をよーーーーく混ぜたら、いよいよ味噌づくりのハイライト、「ビターン」の時間です。
ソフトボール大に丸めた味噌玉を樽に投げ込む作業なのですが、ここで「新年の抱負」なんかを一言ずつ叫ぶのが体験塾の恒例なのです(あ、味噌玉を投げ込むのには「空気を抜きながら詰めていく」というちゃんとした理由があるのですよ、一応)。
さあいよいよ始まります。
ビターン!(抱負はプライバシーにかかわるので割愛…)
次の方、どうぞ!
ビターン!!
ビターン!!
ビターン!!
ビターン!!
新しい年に向けて、願いを込めて味噌を投げ切ったでしょうか・・・。
表面を塩で覆って、ビニルで蓋をし、重石を乗せて、完成(おまじないでトウガラシも乗せました)。
このまま部屋に放置し、来年の夏に一度切り返しをして、秋には食べ始められるでしょう。
食べ始めはやっぱり、来年の新米祝いかな。
味噌の仕込みが終わったらちょうどお昼です。
このメンバーで食べる食事も、これが最後・・・(でもまた集まりましょうね!)。
午後は、塾生さんの持ち寄り講座「ミニ講座」から。
Hさんの「アナスタシアのお話し」。
Qさんの「自然学校の取り組みのお話し」
Oさんの「ビワの葉温灸体験」。
ミニ講座のトリは、Mさんの一芸。
今年のミニ講座も、ずいぶんいろんなことを教えていただきました。
いろんな気づきを与えてくれる素敵な時間だと僕は思っています。
そして、しめ縄づくり。
9月末に刈ったイネのワラを使って、新年を迎えるための注連縄をつくるのです。
これも、「ただつくる」のではなく、稲と共に歩んできた日本の文化や知恵を感じるひとときでもありました。今の社会が失ってしまったたくさんの価値を思い出させてくれる時間です・・・。
「縄ない」が楽しくなってくるころに時間が終わってしまうのが残念ですけどね。
最後はやっぱり静かに、今年の春からの活動を振り返りましょう。
いろいろなことがありましたね・・・・。
「味噌づくり」や「鶏の屠畜」など単発で活動するのでなく、ごちゃごちゃと続く暮らしそのものを時間をかけて学ぶのが体験塾。
「知りたいなー」「やってみたいなー」という動機以外のことで面白さが広がっていくのが体験塾。
なにより、「人間はただの<個>ではなくつながっているんだ」ということを実感できるのが体験塾。
そんな、エコビレッジライフ体験塾2013年の通年コースもそろそろ終わりです。
僕からもちょっとしたプレゼントを・・・
感謝の気持ちを込めて・・・
今年の活動は終わりですが、僕らの「未来につながる新しい暮らし」や「仲間とのつながり」はこれから本格的に始まるはず。
みなさん、これからも、よろしくお願いします。
というわけで、体験塾2013はひとまず終了です。
参加してくださったみなさん、応援してくださった皆さん、ありがとうございました!