「タネ採り」自体は7月あたりからアブラナ科やセリ科のものなど順々に行うのですが、やはり9月末〜10月前半が一番アツいシーズンとなります。
講座は、1時間ほどの座学から行いました。
・この地球上でタネとはどんな存在か
・タネってどんな仕組みなのか
・人間とタネのつながりは…
・F1品種と固定種、在来種の違い
・どうして自家採種をするのか
などについて急ぎ足でお話させていただきました(本当は2〜3回に分けてお話したいくらいの内容なので、どうしても欲張ってたくさん話したくなってしまいます)。
ニンゲンが「タネ」を採り始めたのは約1万年前と言われています。
正確に言えば、そのずっとずっと前、ニンゲン前史の頃から「野生の植物のタネ」を食料としていたのですが、「意図的にタネとして保存し、都合の良いところに播く」ようになったのが1万年くらい前からなのです。
それはつまり「農」の始まり。
それまでの「狩猟採集」から「栽培や飼育」を主とした暮らし方への転換でした。
これはタカキビ(僕はほうき用に栽培)。
もちろん長い時間をかけて品種改良されたものですが、雑穀系は原種に近い姿だと思います。
コムギは、すでにどんどん品種改良された「人間がつくりだした植物」ですね。
講座では、野草なども参考にしました。
植物がどういう方法で子孫を残すのか・・・その戦略は、知る程に敬意を持たざるを得ない程のバリエーションを持っています。
ちなみにこれはオジギソウの花。
座学の後、畑を歩きながら、植物の姿を観察し、タネ採り出来るものを見繕いました(写真撮り忘れ…)。
シシトウや・・・
ナス、トマト、キュウリなどの果菜類。
一番簡単なのは豆類ですが、品種によってはタイミングを逃して「発根」させてしまったり、莢の中でカビにやられたりします。
タネ採りで重要なのはタイミング!
2年草のセロリやゴボウ。
毎年同じ畑を使える方には是非取り組んでいただきたいと思います。
(ゴボウの拡散能力はスゴイので要注意ですが・・・)
ポップコーンは、トウモロコシという植物の「他殖性」を視覚的に教えてくれます。
交雑しやすさはつまり、雑種性の高さ。多様性ですね。
一つひとつ剥くたびに、美しくてうれしくなります。
さて、室内に戻り、いよいよ「採種」です。
まずは採りやすい豆やゴボウなどから・・・
そしてナスやキュウリ。

トマトなど・・・。
水分の多いものは、乾くまで油断出来ません。

採種シーズンが外れてしまうコマツナなども用意しておき、10数種のタネ採りを体験していただきました。

そして、大事なのは保存の仕方です。
いい状態で保管することで、当然種子寿命は長くなります。
逆に言えば、少し未熟なタネでも、大事に保管し丁寧に育てることで、次につなぐことができたりもするのです。

タネとのつき合いにおいて大事なコト。
それを一言で表現するなら、「イキモノとして愛着や敬意を持つこと」だと僕は思っています。
相手を知ることで、その感覚は強くなりますし、相手本意での扱いを出来るようになります。
「ニンゲンの暮らし」は、どんどん人間本意、自分中心的になっていっています。
便利になり、自分の気持ちや都合を優先するようになり、相手をただの環境(風景)やモノ、道具としてしか見られなくなっていっている感じがします。
農業(食糧生産)の世界も、その最たるものかもしれません。
「農」「栽培」はそもそも人間中心的な行為ではありますが、「タネ採りを軸にした栽培」は、「相手が存在してはじめて自分が在る」「共に在る」ことをあらためて気づかせてくれます。
今年も11月となりました。
初雪は遅れていますが、もうじき雪の季節になるでしょう。
タネ採り、収穫なども急ぎ足です。
僕らの先人が1万年続けてきた「農」という行為。
古くて新しい視点で、僕らは未来につなげていきたいものだなあ、と思います。
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〇日時 11月日(日)12:00〜15:00
〇場所 当別町金沢147‐1
〇参加費 3500円
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