2019年02月06日

言葉と精神性。

椅子をつくっています。
素材は、昨年秋の台風で倒れてしまったイヌエンジュの樹。
木育やグリーンウッドワークをやっている友人・草刈さんに教えてもらいながら、ゴッホ風の椅子をつくっているのです。

家でパーツをつくり、時々集まって組み立て作業などを行います。
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先日、おおむね組み終わり、後は座編みをすれば完成です。
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さて。
最近あらためて、「ブリコラージュ」という言葉に惹かれています。
自分の考える「暮らし方」や「モノづくり」にピタリと当てはまると感じるからです。
この生木を使った椅子づくりも、その場その場で試行錯誤しながらやっていく感じがブリコラ的。
道具も、(僕はまだ借りたり買ったりしたものを使うことが多いけれど)自分でつくる人が多いようです。

「ブリコラージュ」
その場で手に入るあり合わせの道具や余り物の材料なんかを使ってモノをつくること。
プロの職人仕事というより、日曜大工的に行う雑多な手仕事。
(この言葉を紹介して社会の有り様にも当てはめたレヴィ・ストロースの『野生の思考』が僕はとても好きです。)

この、体験塾のタペストリーも、ブリコラージュによってつくられました(M氏作)。
素材はすべて身近に散らばっていたもの。
織り機も自作でした。
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エコビレッジライフ体験塾の精神性を具現化しているようで、僕はこのタペストリーが大好きです。



この「ブリコラージュ」みたいな「しっくりする言葉」が、僕にはすごく大事に思えます。

例えば同じような行為を指す言葉としては、「DIY」があるのだけれど、僕はこの言葉は苦手です。
だって、「Do it yourself」です。
一般に「自分でやろう」なんて訳されるけれど、「yourself」ですから「自分でやれよ」じゃないですか?
歴史的には、第2次大戦後にロンドンで生まれたスローガンのようです。
もしも市民の自発的なムーブメントなら、「Do it ourself」だと思うのだけれど・・・「yourself」。
命令です。余計なお世話、です。

こういうところ、すごく気になります。
だから、僕はDIYじゃなく、ブリコラージュの精神でいきたいと思うのです。



ちなみに「自給自足」なんて言葉も好きじゃないです。
「自給」はたくさんしたいけれど、それで「自足」はしたくない。
自分だけじゃ足りないところが沢山あるから、人とのかかわりが大切になります。
気持ちと物の交換をすることが出来、経済の輪に入ることが出来ます。

だから、しばしば「イトウさんは自給自足を目指してるんですよね?」なんて聞かれたりしますが、「いえ、まったくそんなの目指してません!」と答えています。
細かいようだけれど、これは結構、精神性として重要な部分なのです。


何て言うか、こういう言葉の使い方、自分がこだわる部分を丁寧にしたいと思います。
(あまり関係ないですが、棟方志功が「版画」じゃなく「板画」にこだわった、って話も好きです)

あと、例えば「エゾ」
RisingSunRockfestival in EZOが始まった時、「かっこいいなー」と思ったものですが、冷静に考えると場所を指すなら「蝦夷地」です。
そして何より、「蝦夷」って、中央の人々が東北や北海道の民を「異民族」としてどちらかというと差別的に使われていた言葉だと思うのです。決して当事者が使ってはいません。
それを「ちょっとエキゾチックでカッコいい?」的に名乗るのって、随分精神性がトンチンカンだよなあ、と思うのです。
時々名前に「エゾ」を入れている団体を目にしたりするので、大丈夫かなあ?と心配になります(目指してるものと合うのかな、と)。


このブログで何度も書いてるので細かくは書きませんが、「自然農」「自然農法」という言葉にも、違和感が大きいです。
「自然」や「農」について知る程、考える程に相反すると感じるので、僕は使いません(「自然栽培」はいよいよビジネスチックなものを感じるので使いません)
名づけた福岡氏、川口氏らの想いは僕なりに理解していますが、今となっては「良いコトしてる」みたいな誤解につながるデメリットが大きいように思いますし、わざわざ「自然」を使う必要なんてなく、あえて使うなら「有機」で十分だと思うのです。
(でも、「有機」よりも「自然」の方が良いのだ、と勘違いしてる人も多いので、時々困ってしまいます)



こういう「言葉と意味することのズレ」はそこら中に転がっています。
人それぞれこだわりは違うでしょうし、大してこだわりもなく発せられる言葉の方が多い気もします。

で、僕は、結構「言葉のチカラ」を信じているので、それ故、あまり言葉自体を信じません。
時間をかけて行為を見て、人が発する言葉の「真意」を咀嚼していきながら「共通言語」を構築するのには、実は結構時間がかかると考えています。

出来合いの、わかったつもりの言葉ではなく、「自分たちの血肉の通った言葉」を獲得していくにも、野生の思考が必要だし、それもまさにブリコラージュ的な行為ではないかなー、と思うのでした。


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  〇場所 当別町金沢147−1

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*すべてのお問い合わせ、お申込みは、HPのお問い合わせページ、もしくはEmail、Facebookのメッセージにて承っています。
posted by 野良人イトウ at 21:21| Comment(0) | 思想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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