2018年11月03日

倒木から生まれた椅子。

9月の初め、北海道を大きな台風が襲いました。
北海道は割と大きな災害の少ない地域でしたが、ここ数年は様々な災害に見舞われています。
その時の台風でも、それまでの大雨の影響もあって、暴風によりアチコチで大木が倒れたようです。
(その翌日に大地震がありましたが、うちではそちらの被害はありませんでした)

台風の翌朝、裏山に様子を見に行くと・・・
なんと、かなり気に入っていたイヌエンジュの大きな木が倒れていました。
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山に建てた小屋の守り神のようなイメージが僕にはあったので、随分と気落ちしました。
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が、悲しんでいても仕方がないので、何かカタチにして残したいと思い、友人でもある草刈万里子さんに椅子づくりの講座をお願いすることにしました(実は台風の少し前に椅子づくりの講座のことは草刈さんと「そのうちやりたいね」と話していたのですが、まさかこんなふうに実現するとは思っていませんでした)



そして、イヌエンジュを使った椅子づくりの講座『倒木からゴッホの椅子をつくろう』、当日を迎えました。
天気予報は微妙でしたが、作業を始めようとした途端、土砂降りに見舞われ・・・
合羽を着て、「エイヤッ」と外へ。
草刈さんの指示を受けながら、僕がチェンソーを振るいます。
まずは丸太の切り出しです。
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参加者の皆さんは小屋の窓から応援してくれました(笑)。
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テントへ移動し、今度は切り出した丸太から、椅子の足をつくります。
まずは割いて・・・
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丁度良い太さまで、粗削りします。
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その後は小屋で、「削り馬」に固定した材を「セン」という刃物で削っていく作業です。
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木の繊維や曲がり具合を見つつ、それを出来るだけ生かすように考えながら、椅子の足をつくっていきます。
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皆さん宿泊可能だったので18時ころまで作業し、全員が足を完成させることが出来ました。
この手の作業は、黙々とやっても良し、談笑しながらも良し。「削る」という目的が明確なので、誰もが集中して取り組むことが出来ます。
技術の上達もわかるので、単純ですが楽しい作業です。
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夜は、近所の温泉にて汗を流し、夕食。
その後は、記録映像を見たりしつつ、楽しい「合宿の夜」です。
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2日目となりました。
部材を確認し、椅子を組んでいきます。
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背板や貫材は、事前に草刈さんがウチから丸太を持っていって、つくっておいてくれました。
この乾燥具合の違いが、生木でつくる時には効果的なのですね。
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前日に作った足に、ハンドドリルで穴を開け・・・
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貫材などを打ち込んでフレームをつくっていきます。
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多少のゆがみは、いくらでも微調整が可能。
このあたりのワイルドさも、生木での木工の面白さでしょう(グリーンウッドワークというそうです)。
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組む作業は基本的に2〜3人で行います。
押さえてあげたり、角度を横から見てあげたり。
一人じゃできない、というのも悪くはないものです。
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椅子のフレームが出来ました。
微調整してから、いよいよ座面の編みこみ作業にうつります。
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ここからの作業は一人で淡々と・・・。
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繰り返しの作業ですが、初めてだと仕上がりのイメージを持ちづらいのでなかなか大変です。
バランスを考えながら、丁寧に・・・。
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さあ、もう少しです。
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そろそろ仕上げですね。
気を抜かずに・・・最後を納めましょう!
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倒れたイヌエンジュの木から、こんなかわいいゴッホの椅子が5つ、出来あがりました。
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ご参加いただいた皆さん、講師の草刈さん、ありがとうございました!
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お持ち帰りいただいた椅子。
これから大切に使われるのだと思います。

ホームセンターに行けば、今回の参加費で5脚、いや安いのなら10脚くらい買えてしまうかもしれないけれど、それらがお店に並ぶまでの間のことを考えると、「本当にそんな値段でいいのかな?」と思うものばかりです。
少なくともそのモノからは、物語が見えてきません。
何かをギセイにすることで成り立つ安いモノたち…。

今回生まれた椅子は、その対極にある存在のように感じます。


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僕にとっては大切なイヌエンジュの生まれ変わりの椅子。
今回参加された方も、この木自体への想いはなくとも、丸太の状態からつくりだした2日間の物語があります。
そういうモノを長きにわたって大切に使う、そんな暮らしにしていきたい、とあらためて思った今回の講座でした。

残っている木も、何かに使ってあげようと思います。

posted by 野良人イトウ at 18:02| Comment(0) | 体験塾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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