2018年08月11日

森と子どもとおじじ、おばばと。

滝上町にある「森の子どもの村」に行ってきました。

「森」の字は、正確には「木」と「水」「土」を組み合わせてつくられた文字が、ここでは使われています。
本当に、その文字通りの「もり」がここにはあります。
この場所を拓き、築いてきたおじじさん、おばばさんお2人の想いが伝わる看板が出迎えてくれました。
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村に入ると、すぐに大量の丸太が目に入ります。
ここで使われるエネルギーはこの丸太。
僕らが訪れた時にも、「村人(滞在者)」総出で、薪集め、薪運びを行っていました。
もちろん薪割りも日課です。
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村には小川が流れていて(というか、この川沿いを「村」にしたのかな)、水浴びもすれば、食器洗いもここで行います。
今回は入れなかったけど、お風呂(五右衛門風呂)にも川水を引いているし、夏には天然の冷蔵庫として活躍します。
電気も水道もないこの地では、この川がとても大きな役割を果たしています。
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テントが立ち並ぶキャンプサイト。
夏の期間は、全国からたくさんの子どもたち(僕らのように大人も)がやってきて、このテントに泊まります。
多い時は100名近い人たちがここで数日〜数週間の時を過ごしています。
高床式になっていて雨天時でも大丈夫。導線等々、意外と?しっかり配慮された環境なのは、何十年もの経験の蓄積の賜物なのでしょう。
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まずは、おばばさんのご指導のもと、藍染め。
実は今回ここに来た一番の目的は、この藍染めでした。
うちでも時々やるのですが、おばばさんからお話を聴きながらこの環境でやってみたかったのでした。
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大切な藍瓶。
土に埋められていて、冬もこのまま越すとのことでした。
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染めた後に布を洗うのも、もちろん川。
川を汚す?…いえいえ、使い方次第です。
当然何でも流せばよいわけでもないし、量(密度)も重要な視点です。
むやみに汚すことは問題外として、思考停止して「自然を愛護」するのもまた残念な姿勢であって、自然を「利用」するときに必要な感性、節度を学ぶことこそ、これからの人間に不可欠だと僕は思います。
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染めた作品は、帰るまで干しておきましょう。
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藍染めが終わり・・・
火を熾して、夕食の準備です。
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毎日16時に「食材」が配給され、それを使ってグループ毎に調理をします。
子どもたちにとっては調理以前に、薪を割って運んで火をおこす(マッチはありますが)だけでもなかなか大変な作業です。
米や野菜、肉などの他、基本的な調味料も配られるのですが、僕等は自分たち用に必要になりそうな食材や調味料も少し用意していきました。
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ここは「中央広場」。
飲み水用のタンクがあり、この広場で集会を行います。
この奥のスペースには、トイレや「本部」があります。
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2日間とも好天に恵まれたのですが、深夜から朝方の冷え込みは結構なもので、薄手の寝袋ではちょっとハードでした。
(その分、晴れ渡った夜空の星たちはすごかったです。僕の住む当別町もそれなりに星空はキレイですが、大きな町のない滝上の山の中は凄まじい星の瞬きでした・・・)


朝。
テントから出ると、森に射す神々しい朝日が迎えてくれました。
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毎朝、8時からは集会があります。
おじじさん、おばばさんのお話を聴く時間です。
現在この場所を切り盛りしている実働隊は、ボランティアの方々や子どもの頃からここに通ってきていた人たちのようですが、やはりお2人がこの地の魂そのものであるのが伝わってきます。
この日は「今年は森の木々の葉の様子がいつもと違うこと」などをお話されていました。
子どもたちは神妙な顔で聴き入っていました。
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僕等は今回1泊2日の滞在でお昼前には出発しなければならなかったのですが、村を発つ前に、おじじさんおばばさんと少しお話させていただくことができました。
おじじさんが73年前の8月6日に広島にいたこと。
その後の文庫活動のこと。
この滝西の森との出会い・・・等々。
ずっとお2人のお話を聞いていたい感じでした。
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僕がこの「森の子どもの村」を知ったのは10数年前のことです。
その頃はまだ、教員をしていました。
学校教育の在り方や人間の在り方についてグルグルといつも考えていた僕は、誰かがこの「村」のことを話すのを聞いて「いつか訪れてみたいところだな」と感じたことを覚えています。

その後、今のような生活を始めてから、数人の友人・知人から「村」のことが話題として出るようになり、「あ、あの場所だ!」と思っていたのですが、なかなか訪問する機会をつくれずにいました。

今回実際に行ってみた一番の感想は、「お2人の素敵さ!」です。
もちろんおじじさんの惚れた「森」は、豊かで美しいのですが、それ以上にお2人の人間性に魅力を感じました。
驕らず、落ち着いていて、何より「気品」があるのです。
お歳のためなのか、元々の気質なのか、森の暮らしでそう変わったのかはわかりませんが、自分のやってきたことに自信があるからこその謙虚さのようにも僕は感じました。

実は、同じような活動をしていても、自己アピールにばかり熱心だったり、過剰に活動を大きく見せようとしたり、もしくは随分とエラソーだったりする人にしばしば出会います(こういう活動にも意外と多い気が…)。
そういうモノがまるでなく、自然体かつ等身大なのが、僕にはとても嬉しく感じられ、「自分もそうありたい!」と思ったのでした。


ただ・・・
「子どもたちが自由であること」「試す自由、間違う自由も認められること」というこの村の願いと、「安全」や「責任」の問題は裏腹でシビアです。
また、自由にさせることが必ずしも学びに結びつかない場合もあります。
(例えば、焚火や調理の面倒くさいグループが、集落に1つだけある商店に買いに行って毎日カップラーメンを食べて済ます、とか。僕などは「教育的であること」の癖がこびりついていて、「もう少し声掛けしても…」とか「火を点ける練習をさせたらどうだろうか?」などと考えてしまうのですが・・・)
ここにかかわる大人たちも、どう在るべきか、常に考えているようでした。

でも、そういう問題すらも「ちっぽけなこと」、と感じるような雰囲気が、この場所を包んでいたことも事実です。

ほとんど公的な助成や補助などを受けることなく、「森の力」と「人間、生命の力」を信じ続けてきた彼らだからこそ、ツマラナイ常識や外野の口先だけの評価に左右されずに、今でも子どもたちや僕ら大人を惹きつける場所として維持できているのかもしれません。

「こんな場所があって良かった」
「ここに来れて良かった」
そう思える場所。

僕にとっての聖地の1つになりました。

あの場所をつくり守ってきたおじじさん、おばばさんに感謝。
今、あの場所を維持している「村の人」たちに感謝。
そして、おじじさんやおばばさん、多くの人たちを育んできた「森」に感謝です。
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ありがとうございました。
また、行きます。
いつかは僕もボランティアで「森の人」になりたいです。


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〇場所 当別町金沢147-1
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〇講師 早川寿保さん(イオテクノロジー)

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  〇日時 9月1日(土)10:00〜15:00頃
  〇場所 石狩郡当別町金沢147-1
  〇参加費 8000円
  〇講師 小渕ユタカさん(大阪古色の美) 


*すべてのお問い合わせ、お申込みは、HPのお問い合わせページ、もしくはEmail、Facebookのメッセージにて承っています。
posted by 野良人イトウ at 10:01| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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