2017年07月03日

肉を食べるということは。

先日、企画した講座の中で昼食を用意する機会がありました。
「せっかくだら国産、それも地元の羊さんのお肉を食べていただきたいな!」と思って、親しい牧場さんにお肉をお願いし、参加者さんにもその旨を伝えてありました。「楽しみにしててくださいね」と…。

が、結局いろいろタイミングが合わずに、その牧場のお肉を用意することが出来ませんでした。
違うところのお肉をお召し上がりいただくことになり、参加者さんには大変申し訳ないことをしてしまいました。
牧場さんの問題ではなく、完全に、軽く「またお肉お願いしますねー」と考えてしまった僕の落ち度、です。

もう、ほんと、皆さんにゴメンナサイ!
「肉を食べるってことは…」
という、本来当たり前の感覚が、抜け落ちていたのです。
恥ずかしい限りです。

その時お願いしていたお肉は、せいぜい2kg程度。
大量に屠畜しながらどんどん売りさばいていくシステムの中では、僕らは消費者気分で気軽に「今日は2kg」「明日は500gで」「明日はイラナイ」と買うことが出来ます、ただの「モノ」と同じに。
それはきっと、今の普通の暮らしの中での、普通の感覚でしょう。

でも、小さな牧場さんから羊の肉を2kgいただくということは・・・・
1頭の羊を殺し、例えば得られた20kgの肉のうちの2kgをいただくということです。
以前譲っていただいた時は、たまたま(運よく?)他にも売られる当てがあり、たまたま余剰分があったからなのでした。
それなのに、「じゃあ今回も2kgよろしく!」なんて軽々しく考えてしまった自分。
「肉」というものの背景を見失った歪んだ感覚になっていたな、と思ったのでした。



以前、中国のウイグル地方で、羊飼いの人々の村を訪れたことがあります。
彼らは家畜としてたくさんの羊を飼っていましたが、彼らにとっては「生きている羊」の1頭1頭が貴重な財産であり家族のようなものでした。
羊(ヤン).JPG
肉を食べるということは、貴重な1頭を失うこと。
当然、血の1滴も無駄にせずに食べきる文化を持っていました。

自分で鶏を絞める時に毎回実感しますが、「肉を得ること」は「殺すこと」なのですね。
当たり前すぎることですが。
チキン食う.jpg

せめて枝肉としての姿を店頭で目にすることが出来るなら、それがかつてイキモノであったことをもう少し感覚的に維持できるのかもしれませんが、パックに納められている「塊」からは、「生命」を感じることなどできません。
DSCN2224.JPG
これは、たぶん中米のコロンビアあたりの市場かな。

ちなみに、ウイグルの市場では、こんな風景もありました…。
中国トルファンの屋台.JPG



人間が「農」という営みを始め、栽培や飼育によって他のイキモノを自分の都合で管理するようになって1万数千年。
近代的な飼育方法を得、社会の分業化がすすみ、自給的な暮らしを捨て去ったことで、僕らは「喰うために日々、生命と向き合う」感覚をなくしてしまいました。
動物の死にも、植物の死にも触れることなく、食べ物は(お金さえあれば)いつでもいくらでも得られるモノと勘違いするようになってしまいました。

その結果、僕も、「〇日にお肉を〇kgよろしく〜♡」なんて軽々しく考えてしまったわけです。
何だかかなり自分が残念で・・・悔しい出来事でした。


話しは少し変わって、先日、友人のKさんから「鹿獲れたからどう?」と連絡がありました。
取りに行って渡されたのは、・・・1本の足。
P6130700.JPG

ドキリ!としました。
何度見ても、ドキリ、ドキリ!としました。

家に帰って、ドキドキしながら、皮をはぎ、骨から肉を外していきました。
P6130727.JPG

P6130732.JPG
そこには、かつて生命を躍動させていた気配が溢れていました。
肉に刃を入れながら、「僕は今、少し前まで大地で生命を謳歌し、死にたくない!と願いながら命を失った一つの獣と向き合っているのだ」と感じていました。
何とも言えない緊張感。
「ああ、この感覚なんだろうな」と思いました。

「喰う」ということは、そういうこと。
自分が今日生きているのは、彼らから生命を受け継いだということ。
忘れずにいたいと思います。

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★暮らしを学ぶ・暮らしで遊ぶエコビレッジライフ体験塾では、各種講座・イベント行っています。
自主企画の講座の他、随時出前講座も承っています。


『小さなマイハウスをつくろう〜小屋づくり基本講座』
毎年、参加者の皆さんと一緒に、ミニマムな暮らしをイメージしながら「住まえる小屋」を建てている小屋づくり講座。今年の舞台は、千歳市にある「リサイクルファクトリー」さんの敷地内です。
「日曜大工の技を身につけたい、上達したい」という方から「物置小屋くらいは自分で建てたい」「いつかはセルフビルドを…」という方まで、「つくる」ことの好きな方ならどなたでも歓迎いたします。
〇日時 7月8日(土)9日(日)22日(土)23日(日)9:30〜18:00
〇場所 リサイクルファクトリー(千歳市中央690‐1)
〇参加費 7000円/1日、13000円/2日間、
     17000円/3日間、20000円/4日間
       *昼食、午後の軽食付き
〇定員 15名
〇講師 千葉英希さん(建築工房らくだ)


『ウンコは地球の宝物〜糞土師の糞土教室2017』
糞土師・伊沢正名さんを講師に招き、「本物のエコロジーとはどういうことなのか」、また「生き物として人の生活はどうあるべきか」などについて、大いに語っていただきます。
伊沢さんの言葉を借りるなら、「ウンコは良識の踏み絵」。
地球上でウンコがいかなる「役割」を果たしてるのか知り、向き合うことは、持続可能な社会を模索する上で欠かせない感性かもしれません。

〇日時 7月16日(日)@10:00〜12:00  A13:00〜14:30
〇内容 @ウンコを中心とした循環、糞土的思考を学ぶ座学
     A裏山を探索しながらのフィールドワーク(葉っぱや糞土、分解の様子の観察、野糞演習)
〇場所 エコビレッジライフ体験塾(当別町金沢147−1)
〇参加費 @のみ:2000円(おやつ付き)
     @A通し:3000円(自家製味噌汁付き)
〇定員 15名

posted by 野良人イトウ at 22:55| Comment(0) | 喰う | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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