2016年09月19日

自然に愛のお返しを。

<ウンコにテカテカの蝿が群がりブンブン飛び回っている・・・>

そんな様子を見て(いや実際に見なくても上記のような文を目にして)、あなたは何を感じ、思うでしょうか?



朝、いつものように裏山で排便し埋めようと思った僕は、埋めるのをやめ、そのまま放置してみました。
すると、ものの数十秒で、上記のような状況が目の前に現れたのです。
僕の出したての<モノ>に、わあっ!と集まるエメラルドに輝く蝿の群れ!
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それを見て僕は・・・胸が熱くなりました。
とても崇高な「儀式」を見ているような気分でした。
「この世界の真理が、今ここにあるのだ!」と感じていました。

…などと書くと、「何を大げさな」と思われるでしょうか。
「いい大人がくだらない」と嘲るでしょうか。
「まあ、言いたいことはわからないでもないけどねぇ…ニヤニヤ」と理解を示しつつも、上から目線の半笑いを浮かべるのでしょうか。

でも、一昨日、伊沢さんの話を一緒に聴いた方たちには共感していただけると思います。
蝿がそこで何をしているのか。彼らの行為、彼らの存在の、この世界における役割のすごさ、重要さに敬意をもって下さるのではないかと思います。
蝿たちは、僕の排泄物(死物)を次のイキモノへ引き渡す「生命のリレー」の一役を担ってくれているのです。
そして、蝿たちにとっては、僕の排泄物が「命の糧」そのものなのです。
僕のウンコは、やがて蝿の排泄物、もしくは亡骸に姿を変え、ミミズや微生物、植物たちへと受け渡されていくのでしょう。

そんな、当たり前の・・・・・この世界の「理」
僕は、昨日の朝、自分のウンコに群がる蝿たちの姿に美しき「理」を感じ、胸を高ぶらせながら見入っていたのでした。



9月17日(土)。
『ウンコは地球の宝物〜糞土師の糞土教室』には定員を超える15名以上の方が参加して下さいました。
秋の3連休の初日に、ウンコの学びに集まって下さった方々の知性と精神性に、全身で敬意を表したいと思います。ありがとうございました。
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午前中の座学では、キノコ写真家である伊沢さんが撮影した美しいキノコや菌類の写真を見ながら、それらの役割を学びました。
もちろん、糞土師伊沢さんが長期にわたって観察しまとめた記録から、「ウンコが地球の宝物であるワケ」も力強く語っていただきました。
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お昼にもしっかり「ウンコ談義」に花を咲かせ・・・
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午後はフィールドワークです。
ガーデンでは、マーシュマロウの葉に<尻ざわり4.5>という高得点をつけた伊沢さん。
野糞は生物としての責任であるけれど、嫌々やるのではなく「いかに楽しく快適に用を足すか」にこだわる糞土マスターの熱弁も冴え渡ります。
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いよいよ山へ。
いろいろな葉っぱを触り、質感を確かめます。
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ひとつの植物でも、生葉と枯葉、摘みたてと1時間後、朝と昼間では随分違うものだということも、よくわかります。
繰り返し伊沢さんが語っていたのは、「相手が生き物だということを忘れないこと!」という点。
そして、何事も断定的に捉えずに、変化するものとしてとらえ、多角的に見ていくこと・・・というのが伊沢さんの「糞土思想」の核であるのだと思います。

もちろん、糞土師流・ハイセンスな野糞作法の伝授も。
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野山でいかにして死物(動物の糞だけでなく、死体や枯葉や倒木等々の命を失った有機物)が分解されていくのか、の観察。
僕たちの世界は、無数のイキモノの生命活動による織物のようなものなのですね。
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そして、フィールドワークのハイライトは・・・
<ウンコの掘り返し実習>です!!
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ワタクシ伊藤が3週間ほど前から仕込んでおいた<宝物>がどう変化しているのか、参加者全員で確かめたのです(楽しく、かつ大真面目に!)。

その結果はここでは記しませんが、4箇所ほどの宝物は、それぞれ異なる姿形、香りの変容を見せており、僕らに<自然の奥深さ>を伝えてくれました。
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(繰り返しになりますが)貴重な休日にほぼ1日かけて参加していただいた方々に、もうほんと、心からの感謝と敬意を表したいと思います。
そして、これまで孤独なたたかいが多かったであろう糞土師・伊沢さんの笑顔が、僕の心をほっこりさせてくれました。
批判されてナンボ、と言う伊沢さんですが、「同士を得た喜び」を味わってくれたのかもしれません。
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講座の前夜、久しぶりにお会いした伊沢さんとお話した中で僕が感じたのは、「ああこの人は本当に自然を愛しているのだな」ということ。
「自然を愛す」なんて表現は薄っぺらく聞こえますが、山の緑とか小奇麗な昆虫や草花だけじゃなく、死骸も糞も蝿も蚊も糞虫も毒虫も毒キノコも目に見えぬイキモノたちも含め、すべてがかかわりあって出来上がっているのが<本当の自然>の姿。
伊沢さんはきっと、人間に忌み嫌われるものたちの代弁者(大便者)なのですね。

そして、僕らが共感し合ったことは、「別に奇をてらってもいないし、特別なこと、変わったことをしてるわけでもないよね」ということ。・・・伊沢さんも僕も、「イキモノとして当たり前でいたいだけ」なのです。

その<当たり前>が異端と見られるような常識、良識こそ歪んでいるんだろうなあ、とあらためて考えた糞土教室でありました。
そう・・・もしかすると、この講座の本質は、ウンコ談義を通した<自立した精神の在り方>を問い直すものだったのかもしれませんね。

posted by 野良人イトウ at 08:25| Comment(0) | 体験塾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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