2012年07月02日

良識に殉じたい。

数年前、某短大の社会人枠で学生をしていた時、僕は「食農研究会」というサークルに所属していました。
「食と農の問題に真剣に向き合うことこそ、この世界と向き合い、人間が真に自立的・調和的に生きようとすることと同義なのだ!!」…と鼻息荒く考えていました。
環境、経済、健康、等々、様々な問題をつなげるのがまさに「食」「農」であり、この社会が今よりマシになっていくため、僕らがより良く生きるために欠くことのできない最大の観点だと思っていました。

そして今、僕は「糞土研究会」の会員です。

「食農」「糞土」
どちらも非常に大切なのですが・・・・
今、僕はあらためて思います。

「糞土を考えない食農など、本来はあり得ない!」
「糞土に向き合わない食農など、下品で虚しいグルメレポートと何ら変わらない!」


「食だ」「農だ」と、喰うことばかり考えてきた自分を恥ずかしく思っています。
本当なら、喰うことと同じくらい真摯に、「出し方」「返し方」を考えなくちゃなりませんでした。

かつて辺見庸さんがメディアを「糞バエだ」と評したとき、僕は「あっぱれ!!」と思いましたが、今ならこう感じるでしょう。

「糞に失礼なことを言うな!」
「ハエに失礼なことを言うな!」


動物が吸収できなかった物質が糞となって排出され、それをハエやミミズやカビや菌が食し、さらに彼らの排出した物質や彼らの遺体を小さき生き物が食し、分解し、やがてそれらは植物によって吸収されます。
その植物を虫や鳥や菌や人間含む動物が食し、また糞をしたり死んで遺体になったりして分解され・・・(以下同じ)ぐるぐる回っていきます。

<糞>は、次の生き物の<糧>であり、<排泄>は、次の生き物への<バトンタッチ>
すべての生き物は、<何ものかの糞(というか排出物)>や<何ものかの遺体>を食べて生き、<自分の糞>と<自分の遺体>を次の生き物に提供する存在です。
それが、(人間社会以外の)この世界の道理であり、常識

だから<ハエ>は、真っ先に来てくれる優秀なお客さんであるはずです。
ネガティブな意味合いで「お前らは糞バエだ」なんて言うのを聞くと、今なら怒りを通り越して、・・・もう、何だか悲しくなってしまいます。

もはや、
「糞なしであなたの存在はあり得ない」
というか・・・
「僕もあなたも、そもそも糞で出来ているじゃないか!」
それが、今の僕の感覚です。



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30日(土)、ついに<糞土思想>の伝道者、糞土師・伊沢正名さんがやってきました。
エコビレッジライフ体験塾の公開講座『ウンコは地球の宝物』の講師として来ていただいたのです。

きっかけは、昨年僕が糞土研究会の存在を知って入会し、伊沢さんと少しお近づきになったこと。
「是非、体験塾で講座を持っていただきたい!」
とお願いしたところ、今回、わざわざ茨城から駆けつけてくださいました。

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講座では、伊沢さんが自然保護運動を経て写真家となり、さらに糞土師として活動するようになった経緯や実際の活動について写真を交えて2時間半たっぷりお話ししてくださいました。
あ、ちなみに、伊沢さんの「実際の活動」とは・・・ズバリ、「野糞」です。
(「ノグソ」って、パソコンで変換されないんだよなあ!何故だあ!?)

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公開!伊沢さんの野糞グッズの数々。

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拭き心地良い葉っぱのリストや採点表。



ちょっと生態系について考えれば、子どもでもわかることなのですが、野糞は間違いなく一番マトモな排泄方法です。
伊沢さんの言葉を借りるなら、「野糞は命をかえすこと」だからです。

39年間、野糞をし続けてきた糞土師の哲学をちょっと紹介すると・・・
・人は生きるために食べる。食は、他の生き物の命を奪うこと。しかしそれは人間の宿命であり、生きる権利でもある。
・食べたら出す。そのウンコには、多くの生き物を奪ってきた責任が詰まっている。
・人糞には、消化吸収できなかった栄養がたっぷり残り、他の生き物にとっての極上のごちそうになる。
・ウンコを自然に返す野糞は、奪った命を多くの生き物に返す、人間として最も崇高な行為である。
・食は権利、ウンコは責任、野糞は命の返し方



どうでしょう?
伊沢さんの思考、僕にはまったく理にかなった<当たり前のこと>と思えるのですが。

自分で出しておきながら、「臭い」「キタナイ」「不衛生」だと顔をしかめ、「水に流し」て「なかったこと」にする感覚こそ、僕には愚劣と思えます。
「ウンコは良識の踏み絵」だという、伊沢さんの言葉に、深く深くうなずいてしまいます。

大量の水で流し、大量のエネルギーを使ってゴミとして処分する「水洗トイレ」はもちろん最悪の排泄方法であり、収奪し続けてきた自然へのせめてものお返しである「野糞」は最良の方法だとして・・・では、僕らが使っている「コンポストトイレ」はどうなのか?と言えば・・・

「まあまあの選択」
といったとこでしょうか。

「なかったことにしない」
「ウンコに向き合う」
「余計なエネルギーを消費しない」

という点では合格。
けれども、
「あくまで人間が人間のために使う」
という点では、「エゴを捨てきれない僕」が浮かび上がってしまいます。
「人間中心の思考」と言えるかもしれません。
コンポストは、「ゴミを宝物に変える方法」なのですが、そこには「ウンコはそのままではゴミ」という出発点があります。
伊沢さんの「ウンコ追跡調査」の写真の数々を目にしたとき、「そもそもウンコはそのままで宝物!」であることを実感できると思います。
「なぁ〜んだ、そのままで十分なんだ」って。

ただ、僕の暮らしの中では、今のところ多少の肥料がほしいし、それをつくる手段として「コンポストトイレ」を今後も続けたいと思っていますけど。
「人間のエゴ」と感じつつ、ケチンボの僕は「もったいないから自然にはあげないで自分のもの!」として、コンポストにさせていただきます。



でも、時々は、野糞もしようと思っています。

実は、今朝もしました。

ここで、ちょっと「伊沢流野糞のマナー」を紹介。
「マナー」はとても大事なことですよね。

@まず、移植ごてで穴を掘ります。
誰かが踏んづけたりしちゃ嫌だろうし、土に埋めることで分解も早くなるからです。
RIMG0271.jpg

A穴に狙いすまして出します。これが、慣れないと案外難しいものです。
RIMG0272.jpg
(一応、モザイクかけました。10円玉で画面をこするとはっきり見えるかも…)

B葉っぱでお尻を拭きます。紙は分解が遅いし、自然の中の紙は美しくないです。
伊沢さんから、快適な葉っぱをいろいろレクチャーしていただきました。今回はヨモギ。
お尻は、葉っぱで拭いた後、少量の水で洗います。非常にスッキリ(インド式は僕は慣れっこです)。
拭いた葉っぱはウンコに被せて・・・
RIMG0273.jpg

C土に埋めます。
埋めたら、した場所がわからなくならないように棒を立てておきます。
せっかくだから追跡調査してみたいし、密度が高くなるのは良くないからです。
RIMG0274.jpg

ウンコの状態は、A〜Eでランク分けすれば、Cくらいでしょうか。
(ウンコは自分の身体からの手紙でもありますね)



さて。
伊沢さんも良く受けるバッシングの言葉として、「人類みんなが野糞なんかしたら、野山が糞だらけになるじゃないか」ってのがあります。
その言葉に対し、伊沢さんはプロなので、「1人が1年間に必要とする野糞面積」×「人口」を計算し、「日本には日本人全員が野糞するに足る(20倍以上の)山林がある」と言い切っていました。

けど、たぶんそんな計算も、本当は必要ないんですよね。
「全員が毎日したら・・・」なんて、あり得ないことを基準にして批判する方がナンセンスなんです。
(批判的思考の人がよくやる手法なんだよなあ。無意味な言葉遊び)

伝道師である伊沢さんには365日野糞を続けていただくとして、僕らは自分のペースですればいいだけのこと。
僕なら、2日に1回かな
都市に住んでる人なら、ちょっと田舎に行ったついでに。
気の向くままに。
・・・それでいいでしょ。

「ウンコの手段に、野糞を取り入れる」こと、実は哲学的にも面白い試みだと思います。
いろんなことがわかります。
いろんなことを感じます。

科学的(生態学的)・理性的・倫理的に、野糞は「もっとも正しき排泄方法」ですが、実はそんな理屈を超えて、「けっこうオモシロい」「楽しい」行為だというのが、僕の実感です。
そんなに特別じゃないこと、やってみたらわかります。

「野糞なんてあり得ない!」
「とんでもない!」
なんて、狭ーいトイレ・狭―い常識に閉じこもっていずに、「一度やってみたらいいよ」と大真面目に思います。



最後に、「野糞は軽犯罪法違反だ!」に対して・・・
ちょっとブルーハーツの言葉を借りましょう。
ルール破っても、マナーは守るぜ!(野糞は、マナーを守ってやりたいものですね。)」
そして、
「軽犯罪で結構です。だけど、水洗トイレこそ自然界から見たら重大な犯罪的行為だし、非常識極まりない存在では・・・?」
話したいことはまだまだありますが、止まらないのでやめましょう。

おまわりさん、僕を取り締まってください。
そして、ウンコの話をしませんか。

ああ、もっともっと、糞と土と死と生について語り合いたい!!



posted by 野良人イトウ at 09:13| Comment(0) | 思想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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