2020年01月19日

ママコッコが逝く。

昨夜、ママコッコが静かに逝きました。
現在うちで飼っているCoccoさん(20羽くらい)の中でも一番の古株というだけでなく、何度も抱卵して雛を孵し、「子育て」してくれたので、僕らは彼女をママコッコと呼んでいました。
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彼女がうちに来たのは、確か4年前。
その頃には既に産卵のピークも過ぎていたので1歳半過ぎだったでしょう。
なので、きっと今は5〜6歳くらい(6冬目)だったと思います。

とても逞しくて、いくつもの群れを渡り歩きました。
通常、新しい群れに入れると新参者はイジメられることも多く、かなり気を使うのですが、ママコッコはどこにいってもむしろ我先に餌を食べ、自分から隣の子を突くくらいの気の強さでした。

これまで何度も「子育て」してくれました。
今年も4月と7月の2度、抱卵し、計6羽の雛を育てました。
餌も水もロクに摂らずに卵を温め続ける「抱卵」は、30日くらいになります。
鶏の卵は21日くらいで孵化することになっていますが、卵が追加されたり孵化が遅れたり、結局は孵らない卵を温め続けたりするので、1か月以上は抱いていることになります。
順々に孵化しても、子育てが続くので、自由に飛び回ることも出来ず、やはりなかなかの苦労だと思います。
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毎回10個ほどの卵を温め、無事に育つのは3羽ほど。
今うちにいるCoccoの半分くらいは彼女がお母さんです(残念なことに孵化する半分以上が雄なのですが…)。
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(・・・「お母さん」といっても、実際はみんなが産んだ卵を一緒に温めているので、「育ての親」ということです)


昨年8月にヒナから離れて群れに戻った時点では、まだまだ元気だったママコッコ。
「あと何年子育てしてくれるかな?」と思っていました。

うちでは、ここ数年は3冬目(2歳半〜3歳)になる子を秋に〆ることにしています。
(通常の「平飼い養鶏」では1歳半が目安だと思います。何故なら、そのくらいで産卵率が落ちて、生産として見合わなくなるからです)
もちろん「子育て係」として〆られなかったのもありますが、実はママコッコは3年目になってもそこそこ卵を産んでくれていました。
きっと子育て期間がある分、他のCoccoよりも体の劣化がゆっくりだったのだと思います(子育て中は産卵停止)。
つまりそれは、それだけ無理をしながら鶏はほぼ毎日卵を産み続け、本来のイキモノとしての老いの何倍もの速さで身体を劣化させてしまうのでしょう。

そのようにして生産されているのが、「鶏の卵」。
そして、そんな鶏さんそのものは、人間によってつくられたイキモノなのですね(野鶏はそんなに産みません)。

毎度のことながら、フクザツな気持ちにさせられます。



そんなこともあらためて気づかせてくれたママコッコ。
彼女の異変に気付いたのは秋です。
11月頃、動きがとても緩慢になり、尾が下がり、目に精気が感じられないママコッコを群れの中に見つけました。

数日間様子を観察しました。
餌は少し食べているものの、うずくまっていることも多く、既に止まり木に登れないようでした。
「これは、元気なCoccoの群れに入れておくと踏みつぶされたりしそうだし、床で寝てネズミにやられる危険もあるな」と思い、個室に移しました。
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個室に移すために抱き上げたママコッコは、信じられないような軽さでした・・・。



何度も感じてきたことなのですが、死が近づいているイキモノは「存在の輪郭」がぼやけていきます。
本人が死を受け入れているからなのかもしれません。
その場の空気とだんだん入り混じり合うようになり、この世界に肉体を残してだんだんと去っていくのを感じます。

個室に移したママコッコからは、そう長くはない気配が伝わりました(半分世界に溶け出しているような…)。
1月の寒さ(毎朝−10℃以下)に置いておくのは気の毒でしたが、それでもあくまで彼女は家畜としての鶏…。
迷いつつも、鶏舎の中、群れの近くのケージで過ごさせることにしました。

でも、
一昨日の朝、ついに室内に入れました。

うずくまったままでほとんど目も開けないママコッコ…。
もう終わりが間近なのを感じました。
せめて最後、暖かいところで過ごさせたくなってしまいました。

お日さまの当たるところに置くと、気持ちよさそうに、時々目を開け、こちらに向かって何か話すように口をパクパクさせました。
2日間、立ち上がることはなく、もう水も餌も口にすることなく、ほとんどの時間を眠って過ごしました。
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・・・そして、昨夜、本当に静かに、眠るように逝きました。



家庭養鶏ながら、これまで150羽以上のCoccoさんを飼ってきましたが、個性的で印象深く、つい特別扱いをしてしまう子が時々現れます。
ママコッコもそんな子でした。

身体は平均よりも少し小さいけれど、気も強くてたくましいママコッコ。
毎年、3月末になると始める彼女の抱卵が、僕にとっての「春の訪れ」だったようにも思います。

「一つの時代がまた終わったなあ…。」
そんな気分にすらなるのでした。

今朝、他の子たちの亡骸も埋まっている森の入り口に、彼女も埋めてきました。
感謝を込めながら・・・。
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ありがとう、ママコッコ。
お疲れ様でした。



・・・というところで話を終わらせればいいのかもしれないのですが・・・
それだと何だか「美談」ぽくて嫌なのでもう一言。

ママコッコのように手厚く看取る子がいる一方で、今年生まれた2羽の雄鶏のことは、近いうちに〆て食べようと僕は思っています。
雄はすでに足りているからです。はっきり言えば、生まれた雛が雄だとわかるとがっかりです。
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メスでも、産卵が少なければ〆ますし、あまり情が移らず弱っていることに気づかない子もいます。
やっぱり結局、僕は彼らを「家畜(生産動物)」として扱い、にゃんこなどとは生命の重さも価値も分けているのです。

喰うということ、生きるということは、矛盾だらけです。
客観的に見れば、残酷で傲慢なことばかりです。
美談でなんて語れません。

でも、それを理解した上で、矛盾も飲み込んで選択し続けていく。
それが生きるということなのだと僕は思います。

「情」によって、「場合」によって、命の扱いは変わるよ。
そんなのは嫌だな、と思いながらも。

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posted by 野良人イトウ at 11:40| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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